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防水スプレーを“使う or 使わない”。さて、あなたはどっち派?

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公開日:2023/07/13    /  最終更新日:2024/01/27

防水スプレーを“使う or 使わない”。さて、あなたはどっち派?

正解は……どちらも正しいです!

防水スプレー、使う?使わない?

防水スプレー、使わない理由 と 使うべき理由

革製品を使うにあたって、よく聞くのが「防水スプレーをふっておくといいですよ」というアドバイス。
革には水が大敵というイメージから、革から水気を遠ざけるために防水スプレーの使用が推奨されています。
当サイトShoesLifeでも防水スプレーに関する記事を公開してきましたが、ここであらためて防水スプレーについてまとめておきたいと思います。


目次

  1. 防水スプレーを使わない理由
  2. 防水スプレーを使うべき理由
  3. で、どうする?
  4. まとめ

 

1.防水スプレーを使わない理由

 

まずは「防水スプレーを使わない理由」についてまとめます。

 

・そもそも防水スプレーは不要

スムースレザーの靴の場合、基本的なお手入れ(靴磨きの基本“サフィール流シューケア術”を参照)をしっかりと行えば、油分で革は潤い、ワックスによる被膜で美しい光沢がでます。
この基本的なお手入れで補われる油分は革に水気がしみ込むのを防いでくれます。

革靴のお手入れの基本“サフィール流シューケア術”

またワックスの被膜が同じように水気を弾くので、革が水を含んでしまうことが起こりません。
基本的なお手入れは定期的に行うことになりますから、手入れが行き届いていれば防水スプレーを使わずとも靴クリームやポリッシュの効果で常に防水効果も得られることになります。

 

さらに、ワックスによるツヤの出ている革表面に防水スプレーをふきつけると、光沢面で防水スプレーが浮いてしまうことがあり、うまくなじみません。
そのまま乾くと白くくもったようになってしまうため、せっかくのお手入れ成果が台無しになってしまいます。

だーうえコラム『【裏技】防水スプレーの後、白いのが…😱』より

スムースレザーの革靴に限っていえば、基本的なお手入れ(+ハイシャイン)がきちんとなされていれば多少の雨や汚れに対して、防水スプレーを使用しなくても十分対処が可能です。

・防水スプレーを必要としない素材

水や油の浸透を防ぐ、という用途で防水スプレーを使うのであれば、水を通さない素材やコーティング素材には防水スプレーは不要です。
例えばエナメル(パテントレザー)やガラスレザーは樹脂コーティングがなされた革素材なので、水を通すことがありません。

エナメルの靴

エナメルの靴

ガラスレザーの靴

ガラスレザーの靴

むしろ防水スプレーがなじみにくいので、前述のように白くくもったりツヤがなくなったりといったデメリットが生じます。
合成皮革もまた水や油を弾く性質を持つ素材なので、防水スプレーは必ずしも必要ではありません。

ただし水気にさらされるのを長く繰り返すと、劣化(加水分解)の原因となるので、水に強い素材とはいえ速やかに拭き取り、乾かしてあげる必要はあります。

・ダメージリスクをなるべく避けたい

「防水スプレーを振ると革が傷む」や「色落ちする」といったトラブルに見舞われた、という話題を時折見受けます。
このようなトラブルを避けるために防水スプレーを使わないようにする、という選択をされている方も少なからずいます。

こういったトラブルは、防水スプレーに配合される成分が影響している場合があり、勢いよく噴射するために充填されている高圧ガスや有機溶剤が該当します。

 

ただ上記の成分は一般的なエアゾール製品でも広く使用されているもので、特別「悪い」成分というわけではありません。

 

上記のようなトラブルが発生した際、以下のような使い方で防水スプレーが使われているケースが多く見られます。

 

  • 適切な距離を離していなかった(近づけ過ぎ)
  • ふきつける量が適切ではなかった(かけ過ぎ)

 

このような、近づけ過ぎやかけ過ぎといった誤った方法で使われた場合、本来正しい用法で使われていれば本来革に影響しないはずのガスや溶剤が、対象へ過剰に吹き付けられてしまうため余計なダメージや色落ちなどの原因となってしまいます。

 

どんな場合でも必ず正しい用法・用量を守って使用するのが、1番のリスク回避方法です。

2.防水スプレーを使う理由

つづいて防水スプレーを使うことで得られるメリット、効果についてまとめます。

 

 

・水や油の浸透を防ぐ

防水スプレーを使う1番の理由は、水気や油分が革にしみ込むのを防ぐためです。
革に水や油の革がしみ込むと、“シミ”の原因となります。

雨ジミ(頭を悩ます皮革のトラブル “2種類のシミ”の理由と対策 より)

輪ジミ(頭を悩ます皮革のトラブル “2種類のシミ”の理由と対策 より)

油は乾きにくいので革にしみ込むとそのままシミとなってしまいます。
水は乾きはしますが、濡れ方によっては乾いた後に跡が残る場合があります。
頭を悩ます皮革のトラブル “2種類のシミ”の理由と対策 を参照)

このようなトラブルを未然に防ぐために、原因となる水や油が革にしみ込むのを防水スプレーで防ぐのが目的です。

・汚れをつきにくくする/取れやすくする

上記の「水や油を防ぐ」というのも含まれますが、防水スプレーの効果として期待できるのが「汚れをつきにくくし、取れやすくする」ことです。

防水スプレーがかけてあると、チリやほこりなどの汚れは防水スプレーが構成する被膜が革表面にあることで革自体に触れることなく、払い落とすことができます。
日頃のブラッシングで払い落とすことができるので、カンタンなケアで革製品の美しい状態を長く保つことができます。
ほこりやチリは積もったまま放置すると乾燥が進む原因、カビの温床となる場合がありますのでマメに払い落とします。

 

また汚れがついたときも、防水スプレーの被膜上であれば落としやすいです。
汚れたまま放置すると途端に落ちにくくなる汚れもあります。防水スプレーの効果が効いているうちはクロスなどで軽く拭えばカンタンに落ちてくれます。
クリーナーと併用することでさらに落ちやすくなりますが、防水スプレーの効果も低下するので、防水スプレーの振り直しや、お手入れのやり直しをしておくと万全です。

・スエードなど起毛革、ヌメ革などデリケートレザー、布地の保護

スエードやヌメ革、布地はスムースレザー同様に靴やかばんによく使われる素材です。
しかし、スムースレザーとは異なり油分やワックスで防水・耐水効果を上げることができません。
そのような素材を水気や油、汚れから守るのに防水スプレーは最適です。

 

スエードやヌバックなど起毛革(特にスエード)は比較的に雨、水気に強い素材と言われています。
毛羽立っているぶん水を弾きやすいという特徴があります。
しかし毛羽立っているがゆえに乾燥しやすく、汚れやすいという弱点もあります。

乾燥にはスエードスプレーを使った油分補給が効果的です(サフィール スエード&ヌバックスプレーを使ってみよう を参照)。
サフィールのスエードスプレーは撥水効果も与えられますが、あくまで栄養・補色が目的な製品であるため、純粋な防水性能の比較ではやはり防水スプレーの方が勝ります。
素材として水気に強いスエードだからこそ、雨の日に履きたいと考えるならば、防水性能をより強化するためにも基本的なお手入れ後にはダメ押しの防水スプレーを掛けておけば、雨も汚れも対策としてはバッチリです!

ただでさえ水や油がしみやすいヌメ革は、ワックスや油分が使われているお手入れ用品ではかえってシミの原因となってしまうので、防水・防汚は防水スプレーを使うのが最も有効です。

「デリケートクリームで保湿をして、防水スプレーをかける」というお手入れをルーティンにすれば、ヌメ革の自然な風合いを長く保たせることができます。

ヌメ革などデリケートレザーにも使える防水スプレーを選択する必要がありますが、自然な風合いが魅力のヌメ革を美しく保つためには必要なケアと言えます。

デリケートな革のお手入れに使う"汚れ落とし"と"クリーム"はコレがおすすめ! を参照)

布地も同様、ワックスや油分を含むお手入れ用品が使えません。
にも関わらず一度汚れてしまうと落としにくく、できれば最初から汚したくないものです。

したがって布地素材には履き下ろすときから防水スプレーを掛けておけば、汚れの原因となるあらゆるものを遠ざけることができ、きれいに保つことができます。

布地素材に使用する際は、繊維や織目のすみずみまで防水スプレーが行き届くよう、革素材のときより気持ちしっかりふっておくのがポイントです。

スニーカーだってお手の物。サフィールでスニーカーをお手入れする。 を参照)

3.で、どうする?

靴やかばんを買った。 → 防水スプレーしなくちゃ というように盲目的に防水スプレーを使う必要はありません。
革製品であれば、そもそも防水スプレーだけでお手入れが完了するようなことはなく、定期的に汚れ落としやクリーム・ローションで栄養とツヤを与えることの方が長く美しく使い続けるために必要な手順となります。

 

とはいえ、雨がよく降る時期(梅雨や秋雨)、雪の多い季節、急な天候変化に備えて、といった際にはあらかじめしっかりと防水スプレーをかけておくことも有効です。

 

なので靴やかばんをいつ・どのように使うのかをまず考えて、必要に応じて防水スプレーを使うか使わないかを考えることが重要です。

 

では、防水スプレーはどのように使うのが1番効果的なのでしょうか。

以前の記事(防水スプレーを学んで、梅雨対策を万全にしよう。)でも取り上げていますが、あらためてかんたんにおさらいしておきます。

 

●防水スプレーは、直前ではなく事前に使う。

十分な効果を発揮できるまでに定着するのは使用後「30分後」から。
時間があるなら一晩置ければ、なおよし。

定着前に雨に濡れると、防水スプレーが流れてしまい効果を発揮できなくなってしまいます。

 

 

●対象から適切な距離(20~30cmほど)を離してかける

近づけすぎると、揮発するはずの溶剤がかかってしまったり、噴霧範囲が狭くなる分一箇所に集中してかかってしまいます。
結果、かけ過ぎになってしまうのでご注意を。

 

 

●一気にたっぷり、ではなく、うっすらを数回に分けてかける

たくさんかければかけるほど効果が出るようにも思いますが、そんなことはありません。
実際は均等に吹き付けられておらず、液垂れしたりムラになったりしてしまいます。

小刻みにノズルを押して、薄がけを意識しながらまんべんなく全体に行き渡るように吹き付けることで、ムラなくふきかけることができます。

 

 

●かけすぎたと思ったら、速やかに拭き取る

慣れないうちは気をつけていてもかけすぎてしまうこともあります。そんな時は乾いてしまう前に軽く拭き取ってください。
拭き取る時は力を入れて強くこすることがないよう、気をつけてください。

 

 

●防水スプレーの「種類」にも注意!

防水スプレーには“フッ素樹脂”タイプと“シリコン系”タイプがあります。
ざっくりわけると通気性維持ならフッ素系、持久力&効果重視がシリコン系となります。

シリコンタイプは対象にシリコン樹脂を染み込ませて被膜を作るので、防水効果の持続性に優れますが、目を埋めてしまうので通気性が損なわれます。またオイルを使用するため撥油・防油効果で劣ります。

皮革製品や防水透湿性素材への使用は、フッ素樹脂を積層し水の分子を遮断する被膜を形成するフッ素系防水スプレーの方が適しています。

まとめ

防水スプレーも他のシューケア・レザーケア用品と同様、適材適所で使い分けることが重要です。
正しく使用することで、トラブルを起こすようなこともなく 安心して使うことができます。
「防水スプレーを使っとけば、万事オーケー!」なんてことはありませんし、「防水スプレー使わない方が素材にやさしい」とも限りません。

 

便利な道具だからこそ、上手に使って切な靴・かばんをきれいに使い続けていきましょう。


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