スエードなどの起毛素材の革靴は、年中履く方が増えているとはいえ、この時期に1番活躍する機会が増えますよね。
いわゆるツヤ革と呼ばれるスムースレザーとは違う風合いが魅力のスエード。そのお手入れ方法もについてはこの海外情報でも以前ご紹介しました。
今回は、カービー・アリソン氏が公開している、スエード靴の防水効果を高める方法を伝える動画をご紹介します。
カービー・アリソンです。今回はスエードのドレスシューズに防水処理をする際の手順や製品をご紹介します。私のお気に入りの一足、アンソニー・クレバリーのボウタイタッセルスリッポンを使います。
覚えておいていただきたいのですが、スエードの靴のお手入れは適切な防水処理抜きには語れません。今回使用する製品は、サフィールノワールのウォータープルーフスプレー、ビーズワックスポリッシュ(ニュートラル)、ソールガード、そして、ハンガー・プロジェクトのスエード用豚毛クリーニングブラシと天然豚毛ウェルトブラシです。
この動画に関するご質問やコメントは画面下のコメント欄からお気軽にお寄せください。なるべく多くのお声にお返事します。なお、今回使用する製品はすべてHangerProject.comでお求めいただけます。
スエードに防水処理をする前にかならずやっておきたいのがブラッシングです。これは防水処理をする前にスエードが吸着した汚れなどを確実に取り除くためです。そして、毛を起こすことで防水効果がさらにアップします。
私は当店のスエード用豚毛クリーニングブラシを使っています。ブラスブラシは硬すぎてスエードを傷めてしまうことがあるからです。
スエード用豚毛クリーニングブラシをお持ちでなければ、硬めの豚毛シューシャインブラシで代用できます。スエードの靴のお手入れについては動画『スエードの靴を洗う方法』でくわしく解説しています。
まず、サフィールノワールのウォータープルーフスプレーで防水効果を与えます。アッパーにまんべんなくスプレーします。このスプレーはにおいがきつくて部屋にこもるとなかなか消えないのでなるべく屋外で使用してください。ガレージや屋外での使用をお勧めします。
靴から15~30センチ離してスプレーしてください。ウェルトには細心の注意を払ってスプレーしましょう。この部分はアッパーとソールの間にあり、グッドイヤー・ウェルテッド製法の靴は特にここから水が入る可能性があるからです。コルクとウェルトを縫い付けているこの部分に水がたくさん入るとグッドイヤー・ウェルテッド製法の防水性が損なわれます。
私がサフィールノワールのウォータープルーフスプレーをお勧めする理由は2つあります。まず、有害なシリコンを使用していないので高級レザーにも安心してお使いいただけること。そして、同じく重要なのが速乾性ではないことです。速乾性の防水剤やスプレーを使うとアッパーに白い輪ジミができてしまうことがありますからね。私なら高級なドレスシューズに運動靴やカジュアルシューズ向けの防水剤は絶対に使いません。
靴にウォータープルーフスプレーをかけたら30~60分ほどおいて乾かします。
ウェルトの防水効果をアップするために、ニュートラルのワックスポリッシュを塗ることをお勧めします。ウェルトブラシにワックスポリッシュを少量取ってウェルトに届くように傾けてブラッシングします。
縫い目にポリッシュを塗って隙間を塞ぎます。ブラシの片側のワックスを塗ったら、反対側のワックスを塗ります。ポリッシュを塗りすぎないように注意してください。ブラシにポリッシュを取りすぎるとアッパーに付着する恐れがあります。スムースカーフスキンの靴ならワックスポリッシュを付けて磨くので問題ないのですが、スエードの靴は毛にワックスポリッシュが付着すると質感が変わってしまいます。
アッパーにワックスポリッシュが付着しないか不安な方のためにシューメーカー直伝のちょっとした裏技を伝授します。ウェルトと接するアッパーの縁にマスキングテープを貼るとスエードにワックスポリッシュが付着するのを防げるので、スエードの質感を損なうことはありません。
ウェルトをしっかりとコンディショニングするうえでワックスポリッシュは最適です。防水効果がアップし、ウェルトの縫い目にも防水効果をプラスできますが、手間がかかる作業ですのであしからず。
ワックスポリッシュをウェルトに塗ったら、ウェルトブラシでワックスをのばします。ウェルトの防水にニュートラルのワックスポリッシュを使うメリットはほかにもあります。ウェルトの縫い目に届いて補強するだけでなく、ワックスポリッシュに含まれる溶剤がウェルトの汚れを落とすという驚くべき効果を発揮してくれます。ウェルトには汚れがたまるものですが、このひと手間でウェルトの内側にたまった汚れまで落とせます。
いよいよ最後のステップ3です。靴底にも忘れずに防水処理をしましょう。サフィールが開発したすばらしい新製品サフィールノワールソールガードを使います。防水成分を配合した植物油ベースのコンディショナーで、靴底からの水分の吸収を防ぎます。
塗り方はとても簡単です。防水成分が分離しないようにソールガードの容器をよく振ってから、コットンクロスに適量取って靴底に塗り込みます。
2つの理由から靴底の防水は非常に重要です。まず、レザーのドレスソールは濡れると柔らかくなり、コンクリートの歩道を歩くと一気に摩耗してしまいます。それに、濡れた地面の上を長時間歩くと靴底から水が浸み込んで中のコルク材が濡れてしまい劣化の原因になります。ソールガードを塗ったら、1時間ほどおいて乾かしてください。
防水効果はそのうち失われてしまうということを忘れてはなりません。アッパーに水をかけて水滴になれば防水効果は持続しています。水滴にならなければ防水効果が失われているので、サフィールのウォータープルーフスプレーをかけてください。
サフィール以外のエアゾール式防水スプレーはたいていシリコンベースです。シリコンはレザーの表面に蓄積し続け落ちることはないので、レザーの質感が変わってしまい二度と元に戻りません。
ご覧の通り、この靴の防水は完璧です。雨の多いニューヨークやロンドンへすぐにでも旅行できます。
では、今回のまとめです。まず、スエード用クリーニングブラシでスエードをブラッシングしてからサフィールノワールウォータープルーフスプレーをアッパーにかけます。それから、サフィールのビーズワックスポリッシュをウェルトに塗り、最後にサフィールのソールガードを靴底に塗って防水効果をアップします。
スエードの靴のふだんのお手入れや汚れの落とし方に関する動画をまだご覧になっていなければ、ぜひご覧ください。スエードのドレスシューズのお手入れに大変役立つ2本となっています。
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今回私が着ているのは、クリス・デスポスのビスポークのフレスコスーツです。夏にぴったりですね。シモノー・ゴダールのポケットチーフにパラティーノのブルーのソックス。そうそう、クレバリーのビスポークのホールカットを履いています。これは私がジョージ・クレバリーに初めてオーダーしたビスポークなんです。ネクタイはカービー・アリソン・ソヴェリン・グレードのエンシェントマダーのシルクタイです。そしてもちろん、私のアンサンブルはカービー・アリソンのホーン製カラーステイ抜きでは完成しません。
このほかにもおしゃれなみなさんをうならせる逸品を多数ご用意しておりますので、ぜひHangerProject.comをご覧ください。
カービー・アリソンでした。ご視聴ありがとうございました。
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