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くすみのシューケア生活

ホーム > くすみのシューケア生活 > 新品の革靴の痛みや靴擦れを和らげる最初のメンテナンス

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くすみのシューケア生活

公開日:2020/08/12 / 最終更新日:2024/02/07

新品の革靴の痛みや靴擦れを和らげる最初のメンテナンス

大学の入学式は偉い人が大志を抱け的な話をしてくださったこと以外、地方からいろんな価値観を持った学生が集まるコミュニティで自分の存在を示し生き抜くためのスキルのような、いろんな意味で青春を存分に味わう術を教えてもらった記憶はありませんでした。
新卒で入った企業でも、挨拶に最適な腰を曲げるの角度とか名刺の渡し方を学ぶ社外研修がありましたが、タクシーの乗る順番とか、エレベーター内での立ち位置とか、あと飲み会での席みたいな、大人の社会で賢く立ち回るために知っておいた方が良いスキルなんかは教えてもらったことはありませんでした。
でも、教わらないからできないとか知らないが通用する世の中じゃないし、場合によっては叱られたり辛い経験をして学び覚えるというのが大人でありそれが人生です。

そんな学校教育では絶対に習わない数あることのひとつに革靴のお手入れというものがあります。これを知らないで革靴を履くから靴擦れに苦しむわけです。

というわけですので、是非初等教育のカリキュラムに組み込んでいただきたい新品の革靴を柔らかくするプレメンテナンスというお手入れについてご紹介させてください。

プレメンテナンスとは

新品の靴のプレメンテナンス

プレメンテナンスは申し上げました通り、新品の革靴にするお手入れです。プレメンテナンスをすることで革靴が柔らかくなり、痛みや靴擦れを和らげる効果があるだけでなく足に馴染みやすくするという効果もあります。謂わば大学での新歓コンパであり、社会人のマナー研修のようなお手入れです。今後いろんなことが円滑になるから知っときなさいよ、というやつです。

 

新品の靴だけでなく、ちょっとキツい靴や硬さを感じる靴にも役立つお手入れです。
僕は今手元に新品の靴がないので、ほぼ新品のキツめの靴を使って擬似プレメンテナンスをご紹介していきます。

必要な道具

プレメンテナンスには、靴の表側の革にするお手入れと、靴の内側と靴底にしてあげるお手入れの大きくわけて2つの工程があります。
靴の表側の革のお手入れは以前の記事でもご紹介しているので、是非そちらをご覧ください。プレメンテナンスでは靴の表側にもお手入れを施しますが、今回は主に靴の内側と底のお手入れについて。

スペシャルナッパデリケートクリーム

靴の内側にはデリケートクリームと呼ばれる水分が多めのクリームを使います。
内側にクリーム塗って大丈夫?と不安になった方もいらっしゃるのではないかと思いますが、水分が多めでベタつきが残らないので靴の内側に塗っても全く問題ありません。
むしろ足馴染みが全然違うので、本当におすすめしたいお手入れです。スペシャルナッパデリケートクリームというクリームを使います。

オイル・ソールガード

そして、靴底には専用のオイル・ソールガードを使います。
靴底も革でできているものは、やはり栄養補給をしてあげることで柔らかくすることができます。
靴底に塗って劇的に歩きやすくなるかというと、そこまで大きく変わるわけではないというのが個人的な印象なのですが、靴底を摩耗から守るという役割の方が大きい気がしています。また、オイルが革に浸透することで防水性を高める効果も期待できます。
また、アボカドオイルやセサミシードオイルといった植物性油分を使用しているため、ミンクオイルのような動物性油分と比べて、継続使用しても革が重くなりにくいという特徴があります。

 

ただし、靴によっては革の表面に樹脂がコーティングされているもの(ガラスレザーなど)だったり、革の内側がメッシュ素材だったり、靴底も革ではなくゴム製のものだったりすると今回ご紹介したお手入れは効果を発揮してくれませんので、あらかじめご留意ください。
あくまで革の素材に対して効果を発揮するお手入れになります。

使い方

革靴のアッパー(表側の革)に対してクリームを塗って栄養補給と艶出し

では、道具の使い方を順番にご紹介していきます。
まずは革靴のアッパー(表側の革)に対してクリームを塗って栄養補給と艶出しをしてあげます。こちらの記事でご紹介しています。)

 

次に靴の内側にスペシャルナッパデリケートクリームを塗っていきます。
少量指に取り、内側の革の色が変わっていくのを確認しながら塗り伸ばしていきましょう。

革にクリームが入って全体的に色が変わるまで塗る

足りなくなったらまた指に取って塗り伸ばし、革にクリームが入って全体的に色が変わるまで塗ります。
デリケートクリームは水分量が多いため、塗ってからあまりに時間が経ってしまうと乾燥してしまいます。なので履き下ろす前日に塗っていただくことをおすすめします。

 

次は靴底にソールガードを使います。

ソールにも同じくオイルを布に取って塗り込んでいく

ソールにも同じくオイルを布に取って塗り込んでいきます。
こちらもたっぷり塗り込むというよりは、ソールの色が変わる程度に全体的に塗り込めばOKです。塗る回数を重ねるごとに徐々に浸透して徐々に馴染んでいきます。

 

これだけです。簡単ですね。
靴が足に馴染むまでは1回と言わず、3〜4回このお手入れをしてあげると、より馴染むのも早くなります。
是非お試しください!

最後に

高校は指定のスニーカーだったので、大学の入学式で初めて履いたあの革靴はもうとっくに処分して残っていませんが、当時はプレメンテナンスの知識なんて無く、もちろん靴擦れを経験しました。偉い人の祝辞は忘れても、道端で靴下を脱いでコンビニで買ったバンドエイドを貼った記憶だけはありますから。
逆にスーツ屋さんもそういうことを教えてくれればいいのにとか、新入社員の研修で教えてくれればいいのになんて思いますが、教えてもらえないのであれば仕方ない。そこは自分で調べて辿り着かなければならなかった知識だということです。

 

しかし、転職して東京にきて、右も左もわからず大失敗して先輩にめちゃめちゃ怒られた(叱ってくださったと言うべき)苦い経験や、遅くまで僕の仕事のフォローをしてくださってご迷惑をおかけした経験が今に活きていると思うと、あの苦い経験はとても貴重だったなと思うのです。
そんなふうに痛みを経験させてもらえた環境や人に感謝しつつも、でもやっぱりひとつ確実に言えるのは、靴擦れなんてしなくて済むならその方がいい。痛みを伴わなくてもクリームがあれば快適なシューライフを送ることができますから。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。


 

革製品に多く用いられる素材「スムースレザー」については、こちらで詳しく解説しています。

【スムースレザー完全ガイド】簡単なお手入れ方法や、他の革との違いや特徴など徹底解説

本記事で紹介した商品の購入はこちら。

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Writer profile

楠美 皓平 Kohei Kusumi

革靴ジャーナリスト・ブロガー

祖父に教えてもらった靴磨きがきっかけで、靴のお手入れ方法や革靴に興味を持ち、『革靴の魅力や靴磨きの楽しさをもっと多くの人に知ってほしい』という想いでブログやYouTubeで情報発信を行う。また、ファッションとしての革靴だけでなく、足を支える道具としての革靴という側面から、靴選びの大切さについても発信をすべく知見を深めている。
ブランドや職人の取材のライティングをする一方で、靴好きの方のコミュニティの活性化の一環としてイベント運営も手がける。
前職のwebディレクターの経験からシューメーカーのブランドサイトやオンラインショップの制作・カスタマイズ、広告運用を受け持ったり、ブランディングや商品開発のコンサルなども行う。

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