特集・スエードのお手入れは難しくない! その2
スエードやヌバックの靴についた汚れ──「ブラッシングしても落ちない」「消しゴムでも黒ずみが取れない」「雨ジミがずっと残る」など、いざ汚れが目立ち始めると対処に悩む方がとても多い素材です。
実は、起毛革の汚れが落ちにくい原因は “汚れの種類ごとに必要な道具が違う” ことにあります。
表面のほこり、つま先の黒ずみ、こびりついたゴミ、つぶれた毛並み、そして雨ジミやくすみ──これらは同じ「汚れ」に見えて、落とし方はまったく異なります。
そこで本記事では、スエードのお手入れに慣れていない方でも 「今、自分の靴がどんな汚れで、どの道具を使えば確実に落とせるのか」 がすぐに判断できるよう、目的別に最適なケア方法を分かりやすくまとめました。
SAPHIR(サフィール)を中心とした専用ケア用品を使い、素材を傷めずに汚れを確実に落とすコツを丁寧に解説します。
まずは、「なぜスエードの汚れは落ちにくいのか?」という基本から。一つずつ順を追って、あなたの靴に合う最適なケア方法を見つけていきましょう。
ということで今回は、
をお届けいたします!
まずは前回のおさらいから。
前回記事では、「起毛革がどんな革か」と「まずやってほしいお手入れ」について取り上げました。
本記事では起毛革の靴が汚れてしまった場合のお手入れ方法と使用するアイテムを汚れのケースごとに紹介したいと思ます。
「ブラシでこすっても落ちない」「消しゴムを使っても黒ずみが残る」──スエードやヌバックは見た目以上に“汚れの性質”が複雑で、表面の状態によって必要な道具が大きく変わります。
同じ“汚れ”でも、ついている場所・原因・深さによって落とし方はまったく別物。まずは、なぜ落ちないのか、その理由を種類別に見ていきましょう。
つま先やかかとなど、歩行時にこすれやすい部分にできる黒ずみや擦れ跡。これらは単なる“表面の汚れ”ではなく、起毛の繊維そのものが押しつぶされたり、摩擦で削られたりして、色が変わったように見えている状態です。
そのため、豚毛ブラシでいくらブラッシングしても繊維の奥に入り込んだ汚れは届きません。
こうした汚れには、表面を“軽く削り取る”働きを持つラバークリーナー(専用の消しゴム)が必要です。繊維の奥に入り込んだ汚れを物理的に浮かせて落とすため、ブラシよりもはっきりと効果が現れます。
玄関や下駄箱に置いているだけでつく細かいほこり、歩くとどうしても入り込む砂──これらはブラッシングだけで十分に落とせます。
しかし、細かい砂や汚れが起毛の根元にまで入り込んで固着してしまうと、表面のブラッシングだけでは不十分です。
その場合は、ラバークリーナーやクレープブラシといった“削る・吸着させる”タイプの道具を使い、起毛の奥に潜り込んだ汚れをしっかり取り除く必要があります。
スエードの汚れ落としが奥深いと言われる理由は、同じ「汚れ」に見えてもアプローチが違うためです。
雨に濡れた後、乾いたら“輪ジミ”のような跡が残ることがあります。
これは外側の汚れではなく、革の内部で水分が動くことによってできる水分の跡です。
外側をブラシや消しゴムでこすっても改善しないのは、この“内部現象”が原因です。
同様に、全体がくすんで見える場合も、繊維の奥に皮脂や汚れが蓄積している状態のため、表面だけ触っても本来の色味は戻りません。
こうした内部の汚れには、革全体を均一に濡らして洗う「丸洗い」というアプローチが最も効果的です。
スエードに特有の“テカり”は、汚れではなく摩耗や乾燥による毛の潰れが原因で起こります。
よく触れるつま先やかかと、ドライビングシューズのヒール部分などは特に起こりやすく、繊維が寝た状態で光を反射するため、濃くツヤっぽく見えてしまうのです。
この状態を改善するには、固まった毛をほぐして起こしてあげる必要があるため、真鍮×ナイロンのスエードブラシのような“起毛を戻すための強い道具”が有効です。
さらに、乾燥が進んでいる場合は油分補給をすることで、より毛並みを元の風合いに近づけることができます。
表面につくほこりやごみなどの汚れは、履いてつくのはもちろんのこと、玄関やシューズクロークに置いているだけでもついてしまうものです。
前回記事でも触れたように、そのような細かな汚れは日々のお手入れの一環として“ブラッシング”を行ってほこりやごみを払い、常に起毛の毛並みを美しく整えて起きましょう。
ほこりは起毛の毛羽立ちの内側に入り込んでしまうこともあるので、毛を立てたり寝かしたりしながら起毛の根本からかき出すようにブラッシングするのが良いでしょう。
使用するブラシは、ハリ・コシのある豚毛ブラシを使いますが、手首のスナップをきかせやすい柄付き(ハンドル付き)ブラシがおすすめです。
以上は前回記事のおさらいですね。

つま先やかかとにつく汚れで困るのが、黒ずみやこすれ跡。
アスファルトにこすったり、自分の靴のかかとがぶつかった時についてしまう汚れです。
これらの汚れは豚毛ブラシでいくらブラッシングしてもなかなか落ちません。
そのような場面で使いたいのが、“ラバークリーナー(消しゴム)”です。
サフィール スエード&ヌバックラバークリーナーは表面がザラッとした消しゴム状のクリーナーで、いわゆる砂消しゴムのようなものです。
この表面のザラザラをうまく使って、黒ずみやこすれ跡のついた部分を削るようにこすって落とすわけです。
細かな箇所はラバークリーナーの角をうまく使うのがミソ。
ラバークリーナーでも落ちない場合は、黒ずみが“深層”まで達している可能性があります。
その場合は後述の「丸洗い(オムニローション)」を検討してください。
ラバークリーナーを使用する上での注意点は、力を入れ過ぎないこと。
ザラザラで起毛表面を削るので、力が入り過ぎるとかえって起毛が毛羽立ってしまいます。
場合によっては起毛が千切れてしまうこともあります。
少しずつ、汚れの落ち具合を確認しながらやさしくこすってください。
またラバークリーナーを使うと汚れが広がって見えることがありますが、“削りカス”が周囲に付着しているだけのことがあります。
ラバークリーナーを使った後は必ず 豚毛ブラシでカスを払い落とす ようにすると、毛並みも整い、本来の色に戻ります。

毛足の長いスエード、ベロアは、ごみやほこりが起毛にからみついてなかなか取れないことがあります。
毛足が長いとほかにも、湿気でごみ・ほこりが粘ついて起毛にへばりついてしまい、通常の豚毛ブラシのブラッシングでは効果が薄かったりします。
そんな時に使いたいのが、サフィール クレープブラシ。
なんだか美味しそうな名前ですが、このクレープ状の波々部分は生ゴムでできています。
生ゴム特有の粘り気・吸着性で起毛にからんだ汚れ・ごみをひっつけて、起毛からそぎ取るように取り除きます。

スエードやヌバックなど起毛革は、常に擦れたり圧がかかったりするような箇所では徐々に毛がつぶれて固くなり、そのうちテカりが出てきます。
また同時に、乾燥が進んで柔軟性が失われているとその部分だけ毛が千切れやすくなり、毛足が短くなっていき、最終的にははげて薄くなってしまいます。
(ドライビングシューズなどはかかとを突くことが多いので、このような症状がよく見られます)
このような症状には“サフィール スエードブラシ”や“タラゴ ユニバーサルスエードブラシ”の使用がおすすめです。
このブラシは毛の部分が金属ワイヤー(真鍮)とナイロンでできています。
硬いワイヤーでつぶれたり削れたりした起毛を強く起こし、ナイロンブラシが毛並みを整える役目を果たします。
テカテカになるほどにつぶれてしまった箇所も根気よくほぐすようにブラッシングしてあげると徐々に改善されてきます。
ただ、スエードブラシも力を入れ過ぎると起毛に余計な負荷をかけてしまい、毛足が部分的に伸びてしまったり千切れたりしますのでご注意ください。

さて最後は、雨濡れなどでできたシミや全体的な汚れの対処法です。
雨じみは皮革表面ではなく内部で起きている現象なため、ブラッシングなどの外部からの対応では改善されにくい汚れです。
また、くすみや全体的な汚れも、ブラシやラバークリーナーでは範囲が広くてきりがなく、下手をするとムラになる恐れがあります。
なので、そんな時は思いきって、「丸洗い」に挑戦してみるのもひとつの手です。
サフィール オムニローションはスエード・ヌバック等起毛革や布地などに使える洗浄クリーナーです。
界面活性剤、いわゆる洗剤なので汚れを浮かせて洗い流すことできれいに落とします。
雨ジミやくすみは、外側ではなく革の“内部”で起きています。
外側だけをこすっても改善しないため、丸洗いが最も確実です。
サフィール オムニローションはただ単に洗剤のように汚れを落とす効果だけにとどまらず、スエードやヌバックの元々の色味をよみがえらせる「リバイバル効果」を持っています。
界面活性剤のほかに少量の有機溶剤を配合しているので、強力な汚れ落とし効果だけでなく、起毛の根本に沈んでいる染料を浮き上がらせ、起毛の先端まで行き渡らせる効果を発揮します。
洗浄時には泡を流す時に革の色が出るので色落ちしたかと一瞬ギョッとしますが、陰干し後によくよく見てもそこまで色が抜けたような感じにはなりません。
これは上記の「リバイバル効果」の影響です。起毛の根本から浮き上がった染料が起毛に行き渡ることでスエードの色の鮮やかさが復活します。
そこへさらにスエードスプレーで油分補給や補色を行うことで日焼けや乾燥によって生じた色あせや色抜けはほぼ改善可能です。
一度では汚れが落ちきらなくても、これを数回繰り返すうちに汚れは徐々に薄くなっていき、リバイバル効果やスエードスプレーの補色効果によって一層目立たなくなっていきます。
なおオムニローションを使うときは、「部分的に汚れだけを洗う」のは逆効果です。
部分的に洗おうとすると水分が新たなシミの原因になったり、浮いた汚れが洗っていない部分にまで広がってしまうからです。
また洗浄できれいになった部分とそうでない部分の差が生じるので仕上りがあまり美しくありません。
オムニローションは“丸ごと全体を濡らして丸洗い”が正解です。

よくあるご質問について回答します。
Q. 消しゴムでも落ちない黒ずみはどうすればいい?
A. ラバークリーナーで削り落としても残る場合は、汚れが深層に及んでいる可能性があります。
オムニローションの“丸洗い”で均一に整えると改善します。
Q. 雨ジミは放置するとどうなる?
A. 内部に残った水分が輪ジミや色ムラに発展します。また完全に乾ききってしまうと落としづらくなります。
できれば広がって乾ききってしまう前に丸洗いが理想です。
スエードやヌバックのお手入れは汚れに応じて道具を使い分けることで、より効果的に対応ができる、ということわかりました。
スエードやヌバックはメンテナンスが簡単な素材なのですが、こうして一旦汚れてしまうとどうしても手間がかかってしまうので、めんどくさいと思われているようです。
起毛革は繊維が立った構造のため、汚れは「繊維の根元」と「表面」で性質が異なります。
ブラシは“払い落とす”、ラバーは“削る”、オムニローションは“内部まで洗う”と目的が違うため、
この“段階別アプローチ”が汚れを確実に落とすポイントです。
せっかくお手入れをしたのであれば、次は汚さないように使うことを心がけたいですよね。
と、いうことで今回ご紹介したケアの実施後は、「防水スプレー」を使って雨や汚れから起毛革を保護してあげると次回のお手入れがグッと楽になってきます。
「転ばぬ先の杖」
あとの面倒は先に準備をすることで軽減できるので、ぜひお試しを。
さてケースに合わせた汚れ落としでスエード靴はきれいになったものの、スエードのお手入れはこれだけでは終われません。
スエードも革、乾燥による劣化や傷みを予防するためのお手入れが必要となりますし、“白っぽいテカリが治らない”“黒ずみがどうしても落ちない”なんてこともあるかもしれません。
そのような症状の場合は、毛足が摩耗しているケースも多く、補色スプレーの併用が最も効果的です。
そこで次回の特集・スエードのお手入れは難しくない! その3は、スエード&ヌバックスプレーの効果「サフィール スエード&ヌバックスプレーを使ってみよう」です。
こちらの動画ではサフィールを使ったスエードのお手入れを紹介しています。
本記事で紹介したスエード・ヌバックの汚れ落とし商品はこちらで購入できます。









