ダービーは、クォーター（レースを通す部分）がヴァンプ（歩くと曲がるアッパー部分）の外側にある、いわゆる外羽根式で、これがオックスフォードとの最大の違いです。
羽根が外に付いているのでレースで締め具合を微調整でき、甲高の人に特にお勧めしたいタイプの靴です。
それでは、代表的なダービーのスタイルを簡単に紹介していきます。

伝統的なダービーにはアイレットが5つあり、美しい曲線を描くクォーターがクラシカルな雰囲気を与えています。キャップトゥもプレイントゥもクォーターがヴァンプの外側に付いています。

Vフロントはエレガントな雰囲気を漂わせるダービーです。クォーターがトップラインに向かってV字型に切り込まれています。

19世紀前半、堅牢な軍靴としてこのスタイルを考案したと言われているプロイセン王国の陸軍元帥ゲプハルト・レベレヒト・フォン・ブリュッヘルにちなんでこの名が付けられました（ブラッチャーはブリュッヘルの英語読み）。
当時は軍靴（ブーツ）用でしたが、レースで締め具合を微調整でき着脱しやすいこのスタイルは靴に用いられるようになって普及しました。
本当にブリュッヘルが考案したのか、はたまた彼の名前を拝借しただけなのかは定かではありませんが、このスタイルの歴史の長さを物語る逸話です。
現在でも、このスタイルは軍服の一部としてドレスシューズやパレードシューズに使用されています。

こちらも実に伝統的なダービーで、ヴァンプに手縫いまたは機械縫いのステッチで囲まれたエプロンのような装飾があります。このスタイルは「ノルウィージャン・ダービー」または「ハントダービー」とも呼ばれます。ブラッチャーと同様、スコッチグレインのような耐久性のあるレザーを使用した堅牢な靴に多く見られ、秋冬用やカントリーシューズ向きです。

最後に紹介するのは、ぐっとエレガントな印象のダービーです。アイレットの数が少ないこのスタイルは靴をよりエレガントに変貌させ、イブニングウェアと合わせることもできます。正装行事用にパテントレザーを使って仕立てたものもあります。