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【海外情報】ウェルト製法の革靴にはどのくらい耐水性があるのか
激しい雨の日や長雨でいたる所に水たまりがあるような道を歩いた時、甲革だけじゃなく靴の中まで濡れてしまった経験は誰しもがあると思います。 革靴の製法であるウェルト製法には、ソールと甲革を縫い合わせてあるステッチがあり、この部分やソールと甲革の隙間から水が滲み込んできたと考える方もいらっしゃると思います。
果たして、この製法の靴に水が滲み込む原因は、ソールのステッチやソールと甲革の隙間なのでしょうか?
今回は、ウェルト製法の革靴が持つ耐水性について書かれている海外記事をご紹介します。
本記事は、Shoegazing.comで公開されているThe tip – Don’t fall for the misconceptions on water resistanceを日本語に意訳して紹介しています。
ウェルト製法の靴の防水性の優劣について大きな誤解が散見されます。たとえば、「ラバーソールの縫い目から靴の中に水が入ってくる」「クローズドチャネルのレザーソールはオープンチャネルのソールより耐水性がはるかに高い」などの説は間違いです。今回はその理由をご説明します。
たしかに、普通のセメント製法やマッケイ製法の靴と比べると、一般にウェルト製法の靴は比較的耐水性があります。これは、はみ出しているソールのコバ(実用的なバンパーとしての役割も果たしています。詳細はこちらの記事を参照)が水の侵入を防ぐためと、靴の中に縫い目がこないためです。しかし、どういうわけか、ウェルト製法の靴でもタイプによって防水性に差があるという誤解が広まっています。私がよく見聞きするものはふたつです。ひとつは、縫い目を隠すクローズドチャネルのレザーソールよりもオープンチャネルのレザーソールの方が縫い目からかなり大量の水が靴に入るというものです。同様に、縫い付けられたラバーソールの縫い目からも水が靴に入ると言う人が少なからずいます。そういう人たちは、防水性が増すのでラバーソールはウェルト製法の靴に接着する方がいいと異口同音に主張します。
こういう誤解を広めている人たちは、ウェルト製法の靴の底縫い糸は靴の内部にまったく入ってこないことを忘れているようです。底縫い糸は、アウトソールから、これまた靴の外側にあるウェルトまで(ダブルソールの場合は、その中間にあるミッドソールにも)じかに通っています。底縫いから水分が入ることもあります。(これも少々オーバーな話で、重力は水分が靴に対して上方に移動するのを妨げる傾向がありますが、濡れた状態でしばらく歩いていれば結果的にそうなる場合もあります)しかし、靴の下から靴の側面へ移動するだけなので、靴内部の水分量に影響しないのは明らかです。
つまり、ウェルト製法の靴に関して、水が下から入ってくる問題は存在しないに等しいです。問題なのは、ソールのコバとアッパーの間のウェルトの上部に水がくるくらいずぶ濡れになることです。ここから水が靴の中に少しずつ入り、ここではその動きを妨げる重力も働きません。なので、ストームウェルトはウェルト製法の靴の防水性を高めるのに効果的で、アッパーを外側に吊り込むステッチダウン製法やヴェルトスクーン製法は防水性が高く、サイドから水が入るのを防ぎます。水はほとんど、そこからかアッパーを通して靴の内部に入ってきます。下からではありません。
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