コバが広くなったことで防げるのは、物にぶつけるだけではありません。繊細なアッパーに、地面からの土や水分が入り込みにくくなります。コバが張り出している方が、上方に平らな壁があるよりも、汚れや水分が入りにくいというのは、非常に理にかなっています。もちろん、ウェルトとアッパーの間には汚れが溜まりやすいスペースがありますが、他の多くの靴でも、ソールとアッパーの間の防御壁のようなものになります。
もう一つ特筆すべきは、ソールステッチのある靴はコバの幅によって、ソールの取り替えにどのような影響を与えるかということです。ここでは、ウェルトやブラックラピド縫製の靴についてだけ説明しますが、これらは、ウェルトとミッドソール、さらにアウトソールを繋ぐソールステッチが外側にあります。コバをタイトにカットすると、上記の特性に加えて、操作性の面からも、ソールの取り換えが非常に複雑になることがあります。靴底を削るたびに、もう一度靴底の縁を均一に削り、その都度少し取り除く必要があります。もし、コバが非常に狭くて、さらに削らなければならないとしたら、結局ソールのステッチを入れるスペースがなくなり、ウェルトを交換してソール替えをしなければならず、通常の作業に比べてかなり大変でコストのかかる作業となります。