皮革に必要なもの
革靴を長く美しく履くためには、革を柔軟に保つための油分を定期的に補ってあげる必要があります。
その油分を外部から補充する行為を比喩として『栄養補給』と表現しています。
あくまで比喩ですから、人や動物が食物を摂取したり植物に肥料を与えて元気にさせるようなことではなく、皮革のコンディションを維持するのに必要な油分を皮革を構成する繊維へ補い、また乾燥を防ぐために定期的にそれを繰り返すことを指すだけで、皮革を柔軟に保つことはあっても、一度傷んでしまった皮革を再生させるようなものではありません。
油分の補給を怠り革が硬化してしまえばシワやキズが入りやすくなり、また柔軟性を失った皮革を構成する繊維はちぎれやすくなるため、普通ならなんでもない歩行時の屈曲にすら耐えられなくなります。
そしてそれはひび割れ(クラック)となります。
ひび割れは一度入ってしまえば再生することはないので、皮革を乾燥させないことが革靴や革製品をお手入れする上での絶対条件となるわけです。