本サイトでは、これまでサフィールを使った靴磨きの基本、いわゆるベーシックケアを幾度とご紹介してきましたが、使う道具がサフィールであろうと他社の物であろうと、靴磨きの基本さえしっかりと習得していれば、革靴の基本的なお手入れに応用することができます。
そこで今回は、スペイン発のシューケアブランド〈TARRAGO-タラゴ-〉を使ったツヤ革のベーシックケアをご紹介します。
靴がキレイに長持ちする7つのステップを習得して、さらに靴磨きを好きになってもらえたら嬉しいです。
サフィールほど知名度がないタラゴですが、高クオリティでコスパ最強のシューケアブランドとしてコアな革靴愛好家の間では人知れずファンが多く、物価高騰の時代にも手の届きやすい価格設定は、靴磨きデビューの方でも選びやすいラインナップです。
革靴のお手入れをする時には、履きジワをしっかりと伸ばした状態にすると効果を最大限に引き出すことができます。
シューキーパーにも色々な種類がありますが、靴磨きの時には履きジワを伸ばすことを目的としたバネ(スプリング)式と言われるタイプがおすすめです。
曲げ伸ばしを繰り返して乾燥や劣化の進みやすい履きジワ部分をしっかり伸ばすことで、お手入れの効果を行き届かせることができます。
また、比較的軽量のバネ式のシューキーパーは、お手入れ時の手や腕に負担がかからず疲れにくいというメリットや、フリーサイズなので1本あれば使い回すことができ、ご自宅にあるほとんどの靴に装着することが可能です。
まずは、馬毛ブラシを使って革靴のお手入れで欠かしてはいけないホコリ落としを行います。
ホコリやチリを払い落すブラッシングには、毛足が長くやわらかな馬毛が最適です。
革靴の表面にホコリが付着していると革表面の油分を吸い取ってしまい、その部分の乾燥を早めます。また、ホコリを養分としてカビが発生してしまう恐れもあるので、外出時や帰宅時に馬毛ブラシでブラッシングするというルーティンにするといいでしょう。
日頃からお手入れをされている革靴は、馬毛ブラシでブラッシングをするだけでも革の光沢が復活し、しばらくは磨いてすぐのような美しさをキープすることができます。
ブラシで落ちなかった汚れはクリーナーを使って落とします。
タラゴ/ユニバーサルクリーナーは、スムースレザー、スエード、テキスタイル素材などあらゆる素材に適応する万能クリーナーです。
界面活性剤の力で革靴はもちろんのこと、テキスタイルのバッグやスニーカーのミッドソールの汚れも効果的に落とします。
クリーナーを使う際は、必ず目立たないカカトから拭き取り始めるようにしましょう。
いくら革に優しい処方だとしても予期せぬトラブルが起こりうるので、素材との相性を確かめてから全体を拭き取るようにすると安心です。
汚れ落としには、タラゴ/レザーケアバームを代用することができます。
こちらはスムースレザー全般に使用できるワックスベースのマイルドローションで、汚れ落としだけでなく、栄養効果、保革・光沢効果も伴うオールインワンタイプです。
レザーケアバームは塗布して乾拭きするだけでワックスの効果により程良いツヤが出るので、忙しい時のクイックケアに活用できる製品として覚えておくと便利でしょう。
革靴のコンディションを保つためには、靴クリームを使って皮革に必要な油分を外から補給してあげることが重要です。
ワックスの被膜が光沢を出し、防水・防汚の効果も発揮します。
保革性と補色効果に優れたワックスベースのタラゴ/シュークリームをアプライブラシの毛先に少量(米粒2~3粒くらい)取り、蓋の裏でくるくるして毛先全体になじませます。
クリームを塗るのはクロスでも指でもいいのですが、靴底と甲革(アッパー)のすき間であるコバや、ステッチなど細部まで行き届けさせるにはアプライブラシがおすすめです。
世界で最初の水性レザー染色剤を開発したメーカーであるタラゴは着色原料も得意とし、シュークリームにおいても最高のクオリティを誇る顔料を使用しています。
抜群の色づきの良さでキズやスレを補色し、艶やかな革の色をキープすると同時に、カルナバワックスの効果による美しい光沢を発揮します。
クリーナー同様、クリームも目立たないカカトから塗り始めるようにしましょう。
履きジワやステッチ、ブローグ(穴飾り)などの装飾部分があれば毛先をうまく使って全体に塗り伸ばしてください。
もっと手軽に靴クリームを塗布したい方向けに、ブラシやクロスが不要で手を汚すことなくサッと使える2種類をご紹介します。
タラゴ/セルフシャインクリームは、付属のスポンジで塗るだけのクリームです。
シュークリームと比肩する抜群の補色力と着色力があり、天然成分のカルナバワックス配合により美しいツヤも与えます。
最後の仕上げ磨きなしでも素早くクオリティの高いお手入れを完結させることができます。
タラゴ/セルフシャインリキッドは、液体タイプのクリームで、こちらも付属のスポンジアプリケーターで一塗りするだけのクイックケア用製品です。
天然のビーズワックスやカルナバワックスが配合されており、液体タイプとは思えない本格的な栄養と光沢を与えます。
靴に塗布したクリームをコシとハリのある豚毛ブラシでなじませます。
ホコリ払いで使用した馬毛ブラシと豚毛ブラシが混同してしまい、「どっちがどっち!?」となり、結局ブラシを使わずにお手入れをされている方も多いのではないでしょうか。
手触りがやわらかい方が馬毛で、硬い方が豚毛と覚えておいてください。クリームのすり込みには、硬めの豚毛の力が必要不可欠です。
毛先が硬めでハリのある豚毛ブラシでブラッシングをすると摩擦熱が働き、油分が皮革へ浸透することを促し、ワックス成分を靴表面に浮き上がらせて光沢を出す効果も発揮します。
クリームを塗布した後、塗布する前よりも白く曇ってしまう原因は、皮革へ浸透されず表面にクリームが残ってしまっただけなので、ガッカリする前にブラッシングに時間を割いてみると解決しますよ。
ブラッシングで靴クリームがなじんだら、クロスで乾拭きをします。
先ほどのブラッシングでなじみきらない余分なクリームを拭き取り、乾拭きの摩擦熱でさらに光沢を引き出すことができます。
クロスでの乾拭きの後、さらにヤギ毛が混合されたフィニッシャーブラシや、化繊のハイシャイングローブで乾拭きすることで、曇りやキズ、クロスの拭き筋などを消して美しく仕上げることができます。
クリームにも防水・防汚の効果がありますが、防水スプレーをかけることでより一層外敵から革靴を守ることができます。
タラゴ/ハイテックナノプロテクターは、ナノテクノロジーを使って生成される“インテリジェントポリマー”を用いた撥水性能に優れた防水スプレーです。
靴から30cmほど離した場所から全体にまんべんなくスプレーしてください。
近すぎたり、かけすぎたりすると防水スプレーがなじまず白く曇ったり、色落ちの原因となるので注意しましょう。
実際、ワックスを塗布してツヤが出ている革表面に防水スプレーを吹きつけると、防水スプレーが浮いてしまい、乾くと白く曇ったようになってしまうケースはよくあります。
それゆえに、「防水スプレーは怖くて使えない」というお声もよく聞きますが、STEP.06までの工程をしっかりこなしていれば基本的に防水スプレーを使う必要はありません。
皆さんのお手入れスタイルに応じて上手に使い分けてください。
STEP.01からSTEP.07までの工程をしっかり終えれば、ベーシックケアはほぼ完璧です。
ここから先は、さらにハイクオリティに仕上げるポイントをお伝えするので参考にしてみてください。
STEP.06までの工程を終えてもっと光らせたいと感じたら、タラゴ/ポリッシュを塗り重ねます。
固形のワックスが靴表面に被膜を形成し、より美しいツヤが出ます。塗り重ね具合でハイシャイン(鏡面仕上げ)にすることも可能です。
タラゴのポリッシュは、ビーズワックスとカルナバワックスの他、鉱物系のミネラルワックスで保護機能を高めた油性ワックスです。
シュークリーム同様、抜群の色づきの良さでキズなどをカバーし、つややかな光沢を与えます。
また、靴表面のワックス被膜は雨・水を弾く防水効果を発揮するので、STEP.07の防水スプレー代わりにも大変有効です。
こちらですべての工程が完了しました。
基本的なお手入れの知識をつければ、あとは皆さんのお好きな靴磨きアイテムを取り揃えるだけ!
メーカーによって効果や仕上がりの違いがあり、それを見つけるのも靴磨きの楽しみのひとつです。
こちらの記事が、靴磨きの疑問が生まれた時の参考になれば幸いです。