起毛革はツヤ革と異なり、日々のお手入れのときにのようにクリーナーやリムーバーを使えばそれでOK、というものではありません。
スエードやヌバックなど起毛革の汚れ落としのポイントは、この汚れ方によって使う道具を使い分ける点にあります。
前回記事では起毛革がどんな革か、とまずやってほしいケアについて取り上げました。
今回は起毛革の靴が汚れてしまった場合のお手入れ方法をケースごとに紹介したいと思ます。
表面につくほこりやごみは玄関、シューズクロークなどに置いているだけでもつきますし、砂ぼこりなんかは履けばつく汚れです。
これは、前回記事でも触れましたが日々のお手入れとして行うブラッシングで毛並みを整えると同時に払っておきます。
起毛の内側にまでほこりが入り込んでしまうこともありますので、ブラッシングの際は、毛を立てたり寝かしたりしてかき出すようにします。
ブラシは、ハリ・コシのある豚毛で柄付き手首のスナップをきかせやすい柄付き(ハンドル付き)ブラシがおすすめです。
これは前回記事のおさらいですね。
つま先やかかとにつく汚れで困るのが、黒ずみやこすれ跡。
アスファルトにこすったり、自分の靴のかかとをぶつけたりするとつく汚れです。
この汚れは豚毛のブラシでいくらブラッシングしても落ちません。
ここで使いたいのが、ラバークリーナー(消しゴム)です。
サフィール スエード&ヌバックラバークリーナーは表面がすこしザラッとした消しゴム状のクリーナーです。いわゆる砂消しゴムのようなものです。
この表面のザラザラをうまく使って、黒ずみやこすれ跡のついた部分を削るようにこすって落とすわけです。
この時、細かなところはラバークリーナーの角をうまく使うと効果的。
注意点は、あまり力を入れないこと。
ザラザラが表面を削っているので、力を入れ過ぎるとかえって毛羽立ってしまいます。場合によっては起毛が千切れてしまうこともあるのでご注意を。
毛足の長いスエード、ベロアなんかによくあるのが、起毛にからんでごみ・ほこりがなかなか落ちてこないことです。
毛が長く、ほこりなんかが絡んで取りづらくなることがあるほか、湿り気や粘り気のあるほこりなんかも通常のブラッシングでは効果が薄かったりします。
そんな時に使いたいのが、サフィール クレープブラシ。
なんだか美味しそうな名前ですが、この波々部分は生ゴムです。
生ゴム特有の粘り気・吸着性で起毛にからんだ汚れ・ごみをひっつけてそぎ取るように取り除きます。
スエードやヌバックなど起毛革は、常に擦れたり圧がかかるような箇所は、だんだんと起毛がつぶれて固くなり、そのうちテカりが出てきます。
また同時に乾燥して柔軟性が失われているとその部分だけ毛が千切れて短くなり、はげてきたりします。
(スエードのドライビングシューズのかかと部分などで起こりやすい症状)
こんな症状にはサフィール スエードブラシやタラゴ ユニバーサルスエードブラシがおすすめ。
ブラシ部分は金属ワイヤー(真鍮製)とナイロンでできており、硬いワイヤーでつぶれた部分や削れた部分の起毛を強く起こすことができます。
テカテカになるくらいつぶれてしまった表面も根気よくほぐすようにブラッシングしてあげると徐々に改善されてきます。
スエードブラシもあまり力を入れ過ぎると、起毛に余計な負荷がかかって毛足が部分的に伸びてしまったり、千切れたりしますのでご注意を。
さて最後は、雨濡れなどでできたシミや全体的な汚れの対処法です。
雨ジミは皮革表面ではなく、内側で起きている現象なのでブラッシングなど外からの対応で改善されにくい汚れです。
またくすみや全体的な汚れも、ブラシやラバーでこすってどうこうできる状態でないことが多いです。
そんな時は思いきって、「丸洗い」に挑戦してみませんか?
サフィール オムニローションはスエード・ヌバック等起毛革や布地などに使える洗浄クリーナーです。
界面活性剤、いわゆる洗剤なので汚れを洗って落とします。
使い方は以下の通り。
サフィール オムニローションはただ単に洗剤のように汚れを落とす効果だけにとどまらず、スエードやヌバックの元々の色味をよみがえらせる「リバイバル効果」を持っています。
界面活性剤のほかに少量の有機溶剤を配合することで、強力な汚れ落とし効果だけでなく、起毛の根本に沈んでいる染料を浮き上がらせ、起毛の先端まで行き渡らせる効果を発揮します。
洗浄時には泡を流す時に革の色が出るので、一瞬ギョッとするのですが陰干し後を見るとそこまで色が抜けたような感じはしません。
これは上記の「リバイバル効果」の成果です。さらにスエードスプレーによる油分補給や補色を行うことで日焼けや乾燥による色抜けはほぼ改善できます。
一度には汚れが落ちきらなくても、何度かこれを繰り返すうちに汚れは薄くなっていきますし、補色効果でさらに目立たなくなっていきます。
注意点は部分的な汚れ落としには不向きであることです。
汚れた箇所だけを洗おうとすると、その部分だけがきれいになってしまい、周囲との差が目立ってしまいます。また部分的に湿らせることでかえってシミなどの原因となってしまうことがありますので、「丸洗い」の際は「靴全体を・両足そろって」行ってください。
スエードやヌバックのお手入れは汚れに応じて道具を使い分けることで、より効果的に対応ができる、ということわかりました。
スエードやヌバックはメンテナンスが簡単な素材なのですが、こうして一旦汚れてしまうとどうしても手間がかかってしまうので、めんどくさいと思われているようです。
せっかくお手入れをしたのであれば、次は汚さないように使うことを心がけたいですよね。
と、いうことで今回ご紹介したケアの実施後は、「防水スプレー」を使って雨や汚れから起毛革を保護してあげると次回のお手入れがグッと楽になってきます。
「転ばぬ先の杖」
あとの面倒は先に準備をすることで軽減できるので、ぜひお試しを。
次回は、スエードのお手入れは難しくない! その3は「スエード&ヌバックスプレーの効果」 についてご紹介いたします。
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