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皮革の染め仕上げ・パティーヌ その2 塗り方の基本とポイント

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公開日:2020/08/31    /  最終更新日:2023/05/08

皮革の染め仕上げ・パティーヌ その2 塗り方の基本とポイント

前回はパティーヌに必須な道具・あると便利な道具について紹介しました。

皮革の染め仕上げ・パティーヌ その1 必要なもの

今回からは具体的なパティーヌの方法・手順についてお話していきます。
具体的な手順のお話に入る前に、まずはダイフレンチリキッドの塗り方について説明します。

 

サフィールの染料“ダイフレンチリキッド”は主に以下のような方法で革に塗布します。

・布塗り
指に巻いたクロスにダイフレンチリキッドを取り、革に塗布します。広範囲をムラなく塗る場合は、数回に分けて塗布します。

 

・筆塗り
広範囲に塗布する場合は筆があると便利です。こちらも塗りムラをなくす場合は数回に分けて塗布します。

 

ただしどちらも布や筆に含ませる液量が多かったり、何度も同じ箇所を重ね塗りをしてしまうとどんどん濃くなってしまうので注意が必要です。
細かなところ、手に巻いた布が入らないところは小筆を使って色を入れます。

布で塗るイメージ

筆で塗るイメージ

ムラ感・風合いを出す方法

やり方はいろいろありますが、ベーシックな手法は下記の通りです。
クロスや筆にダイフレンチリキッドを取って、革に塗布するのですがこの時にクロスや筆に取る液量を調整したり、新聞紙などのいらない不要な紙に少しこすりつけ、布や筆に含まれた液量を調節して塗布します。
また塗布時には、塗りながら振り広げる方向へスライドさせていき濃淡のグラデーションを表現したり、筆なら小刻みに筆を使って毛先だけをうまく塗布面にあててかすれを出したり、などちょっとしたテクニックでぐっと魅力的な表現ができます。

ちなみに濃淡の表現は、濃い部分は「液量・多、塗布面でこする回数・多、塗り重ね・多」、淡い部分は「液量・少、塗布面でこする回数・少、塗り重ね回数・少」が基本です。塗布方法や範囲、使う道具、仕上がりイメージに応じて調整方法を変化させていきます。組み合わせで多彩な表現が可能となるわけです。

液量が多い、回数塗布する、強めにあてるなどで色味は濃くなる。

少しずつ塗布位置をずらしていくことで濃淡が出る

ダイフレンチリキッドの特徴

サフィールのアルコール染料“ダイフレンチリキッド”が世界各国で選ばれるのには理由があります。その、他の染料にはないダイフレンチリキッド特有の特徴についてご紹介します。
染料で染め仕上げをする際、一般的な染料では先に塗布した色に後から塗り重ねる色の染料が浸透すると、皮革上で色同士が混ざり合ってしまいます。(例えば青色の染料に黄色の染料を塗布すると緑色になる)

ところがダイフレンチリキッドの場合、後から塗布した染料が先に塗布された色をどかして、きれいに発色します。(青色に染めたところにベースイエローを塗布するとイエローがブルーを押し退けてきれいな黄色が発色する)もちろん加減次第で色の重なりを表現することはできるので表現の自由度は格段に高くなります

応用として、塗布部分にニュートラルを塗布するとどうなるか。
先に塗布された染料をニュートラルがどかす作用をするので、ダイフレンチリキッドを塗布する前の元の色(地の色)が表れます。
手染め仕上げやパティーヌは作業を始めたらやり直しが効かないので難しい………と思われがちですが、ダイフレンチリキッドであれば元通りまでにはなりませんが、ある程度の手直し・修正が可能なのです。

ネイビーブルーの色の中に後から入れたベースイエローが鮮やかに発色します。

裏移りするくらいしっかり染まっていても押しのけて発色します。

またダイフレンチリキッドはアルコール染料なので、揮発性が高く乾燥が早いです。早く乾くので作業性がよく、乾燥時間を長時間取らずに色を塗り重ねていくことができます。
塗布後、乾燥すると色味が明るくなりますがこの後の仕上げの工程で色が沈みます(暗くなる)。下図のように1.の染色前の状態から2.の染色直後で湿った状態では色味が濃くなりますが、3.のように乾燥し湿りがなくなるとともに色味は薄くなります。染色後クリームやローションを塗布してアルコールの揮発性により抜けた油分を補いながら仕上げていくのですが、その際にはクリームなどの油分で再び色味は濃くなります。4.は乾燥した状態からクレム1925 ニュートラルを左半分に塗布しました。5.を見るとおわかりの通り、ダイフレンチリキッド塗布直後と仕上げのクリームとふと後は比較的近い発色となるため、仕上がりのイメージは「塗布直後の濡れた感じを想定」しておくと思い通りの仕上がりにしていきやすいです。

 

1.染色前の状態

2.染色直後の湿った状態

3.同じ革を染色してしっかり乾かした状態

4.左半分にクレム1925を塗布

5.染色直後の濡れた状態とクレム塗布後の比較

 

パティーヌをしていくにあたっての基本は以上の通りです。このような特徴やポイントを押さえておくことで、思い通りのイメージに仕上げていくことができます。
次回は実際のパティーヌの工程を順を追ってご説明していきます。

 

 

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サフィールの染料による手染め仕上げについて

 

ダイフレンチリキッドなどのご購入に関しては、下記ご案内に記載の店舗へお問い合わせください

サフィール 皮革用染料等 先行販売開始のお知らせ

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