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皮革の染め仕上げ・パティーヌ その1 必要なもの

前回(皮革製品の魅力を高める “染め仕上げ・パティーヌ”)は「染め仕上げ・パティーヌとは」というお話をいたしました。
今回は染め仕上げのやり方を紹介する前に、まず染め仕上げ・パティーヌをやってみたいけどどんな道具を揃える必要があるのか、についてお話いたします。

そもそもパティーヌをしようと思ったら、
まず最初に「染めるもの・染めたいもの、何を染めたいか」が要りますよね。
ではどんな革なら染められて、染められない革はどんなものなのでしょうか。
染めが可能な革とは、染料が染み込む革です。いわゆる「ヌメ革」や「素仕上げの革」といわれる革表面に加工や仕上げがなされていない、水・液体が染み込みやすい革が代表的です。またそもそもが染め仕上げの革であれば、表面の仕上げ剤やクリーム、ワックスなどを取り除くことによって染料が浸透するようになるので染め替え・染め直しが容易です。
以下に染められない革と染められる革のかんたんな見分け方をご紹介します。

 

染料の使える革の見分け方

染料で染められる革とそうでない革を見分ける、かんたんな方法があります。
それは「水を垂らしてみる」ことです。
水を垂らしてみて染み込むようであれば、アルコール染料であるダイフレンチリキッドは余裕で染み込みますので染色が可能です。
革表面で水を弾いてしまうようなら、顔料仕上げで水が染み込みにくい革か、あるいは何らかのワックスやクリームで弾いてしまっています。
ワックス被膜やクリームの油分はレノマットリムーバーで取り除いてみて、それでも水が染みないようであればダイフレンチリキッドも革に染み込みにくいので染色が困難な革と言えます。

具体的に画像で見てみましょう。

サンプル ←顔料仕上げの革 染料仕上げの革→

顔料仕上げは水が入りにくい。

染料仕上げの革は水が染み込むので染色可能。

染め仕上げ・パティーヌに必須なもの

続いて染め仕上げやパティーヌをするのに必ず必要となるものについてご紹介します。

全12色のアルコール染料

サフィール ダイフレンチリキッド(全12色)

これがなければ始まらない。染め仕上げするのに染料は必需品です。
サフィールの染料、ダイフレンチリキッドはアルコール染料なので染み込みがよく、また発色が良いのが特徴です。アルコール染料なので乾燥時間も短く、塗り重ねの作業効率も高いです。色を混ぜ合わせることもでき、ニュートラル色を使って色を薄める=明るくすることも可能です。
単色で染めるなら1色あれば良いですが、仕上がりに深み・奥行きを出したり、濃淡を表現したい場合は複数色用意するのがおすすめです。
ニュートラルはダイフレンチリキッド塗布後の手直しやぼかしにも使えるので、念のため持っておくのがベターです。

 

細かい部分は小筆が便利

クロス・小筆

ダイフレンチリキッドには塗布用にアプリケーターが付属しています。なので買ってすぐにでも手染めにチャレンジできるのですが、ここでおすすめしたいのがクロスと小筆です。
1色をベタ塗りする場合は付属アプリケーターでも十分ですが、クロスがあると含む液量・力加減の強弱・塗布回数などで多彩な濃淡やグラデーションの表現がしやすいです。クロスはシューケア用に販売されているネル地のクロスが使用できます。
アプリケーターやクロスでの手塗りでは届かない細かなところ(ステッチ、縫い合わせ部分、靴底と甲革の隙間部分など)は小筆を使って塗っていきます。小筆は色ごとに用意します。

 

薄手のゴム手袋がおすすめ

ゴム手袋

ダイフレンチリキッドには一応ビニール製グローブが付属していますが、使いやすさでいくと、作業用しやすく手指の感覚も使える薄手のゴム手袋がおすすめです。手袋を使わずに素手で染料を触ると手が染まってしまいます(皮ふにつくとすぐには落ちませんが、日が経つにつれて徐々に薄くなります)。
後述する色抜き剤ダイリムーバーを使う場合は、かなり強力な溶剤なのでゴム手袋は必須です。

 

おなじみの強力汚れ落とし

レノマットリムーバー

染めに入る前に汚れはもちろん、革表面に塗布されている仕上げ剤やワックス、クリームなどを拭き取る必要があります。染料の浸透を妨げるものを除去しておくことでムラなく仕上げられます。

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色移り防止のための色止め剤

仕上げ用クリーム・色止め剤

これは日頃使用されているお手入れ用品が使用できます。靴なら靴クリームやポリッシュ、かばんや革小物ならレザーローションやデリケートクリームを使います。
ダイフレンチリキッドはアルコール染料なので揮発性が高く、手染め仕上げすることで揮発とともに失われる油分を補う必要があります。
ワックスを含むお手入れ用品ならワックスの被膜効果により、ある程度色落ちを防ぐこともできますが、衣服やかばんの内側でこすれることの多い財布等革小物、かばんなどは別途色止め剤(タラゴ ウォーターベースラッカー)を使用することで色落ち・色抜けなどを防ぎます。雨濡れなどの予防には防水スプレーも有効です。
靴であれば、靴クリームを塗布してから全体に薄くポリッシュを塗布(鏡面磨きはかなり有効)することで色止め効果を発揮します。

 

染め仕上げ・パティーヌにあると便利なもの

以下は必須ではないですが、あると便利なものです。

筆塗りには筆塗りの良さがあります。

筆・刷毛

広範囲を塗りムラが出ないように塗るには、平筆や刷毛を使うと便利です。逆に、わざと筆筋を残して風合いを出したり、ぼかしを入れたりもできるのであると便利です。

仕上げ剤除去・色抜きに使用。

ダイリムーバー

革表面の仕上げ剤を取り除いたり、色を抜いたりするための有機溶剤系のリムーバーです。光沢剤やワックスなどが塗布されていると染料の浸透の妨げとなるので、あらかじめ仕上げ剤は取り除きます。前述のレノマットリムーバーでは取り切れない場合に使います。
またとても元々の革の色を薄くしたり、染料を抜いたりするのに使用します。クロスにとって塗布しますが、かなり強力な溶剤なのでゴム手袋をご使用ください。革にはダメージを与えないような処方となっていますが、力を入れてゴシゴシこすると革表面が荒れてしまいますので、軽く拭う程度に留めるのがポイントです。また顔料仕上げの革に使用すると樹脂が溶け、ベタつきが発生するため注意が必要です。

マスキングテープ

染料がついては困る箇所は事前にマスキングをしておきます。色を塗り分けたりする際にも境目となる部分にマスキングをすることで可能となります。

容器

染料を混ぜて調色したり、広範囲を染める時などはあらかじめ容器に染料を取って使用します。ダイフレンチリキッドはアルコール成分が揮発すると色味が濃くなってしまうので、余った染料や調色した色の保管はラップで封をするかキャップ付きの容器を使うと便利です。

ドライヤー

ドライヤーを使うことで塗布面を早く乾かすことができます。アルコール染料なので自然乾燥でも滞りなく作業できますが、ドライヤーと使うことで作業効率を上げることもできます。

 

 

いきなりこれだけの道具を揃えるのはさすがに大変ですので、最低限まずはパティーヌに必須の5アイテムから揃えるところからスタートしましょう。

 

現在、ダイフレンチリキッドやウォーターベースラッカー、ダイリムーバーは下記のお知らせでご紹介しているサフィール フレンズ店舗で先行販売をしております。
ご購入に関しては、記載の店舗へお問い合わせください。

 

サフィール 皮革用染料等 先行販売開始のお知らせ

 

 

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