Glayage KYOTO SAPHIR FRIENDS オーナーインタビュー その2
「Glayage KYOTO」に聞くShoesLife
京都観光で外せない錦市場からすぐの場所にある「Glayage KYOTO」は、靴磨きサービスのみならず、アパレルアイテムやアクセサリーも販売。この個性的なショップのオーナーを務める樺沢幹人氏に、メニューやサービスの内容、セルフメンテナンスで役立つアドバイスなどを聞いた。
- Q:メニュー構成を教えてください。
- 靴磨きは、クリームのみで仕上げる「スタンダード」(当日仕上げ1,650円/1週間のお預かり1,100円)、艶出しを施す「シャイン」」(当日仕上げ2,750円/1週間のお預かり2,200円)、鏡面仕上げの「グラサージュ」(当日仕上げ3,850円/1週間のお預かり2,750円)の3メニューです。
オプションメニューとして、ワックス・コーティングの除去や軽度な傷の補修、染め替え、洗いなどもご用意しています。また、リフト交換やヒール巻き、オールソールといった大がかりな修理のご相談についても受け付けていますが、作業は同じ京都市内の修理店「凛靴」への委託となります。
- Q:郵送にも対応していただけますか?
- もちろんです。ご希望のメニューを選んで、WEBの「お問い合わせはこちら」からお知らせください。なお、郵送のご依頼に関しても電話等でカウンセリングを行い、個々に見合ったサービスのご提案を心がけています。
- Q:貴店オリジナルの特長的なサービスを教えてください。
- 靴磨き屋でありながら、アパレルやアクセサリーがラインアップされているのは、うちのセールスポイントです。もちろん、シューケア用品も販売しています。多彩なアイテムの取り扱い以外に、職人さんの仕事ぶりを知っていただくワークショップを開催しているのも大きな特徴と言えるのではないでしょうか。
過去に開いたワークショップの一例としては、当店で預かった靴の修理の委託先「凛靴」のスタッフに作業工程を披露していただいたことがあります。SNSで募った参加者は、皆“大人の社会見学”を楽しんでいるようで、いい顔を見せてくれました。いろいろな職人さんの粋な仕事ぶりを見ていただくことで、「職人技ってかっこいい」と感じてもらいたいですね。
Q:靴のメンテナンスを依頼するタイミングの目安は?
履いた時間の長さや履いて出かけた場所・天候などによって異なりますが、サフィールのオフィシャルアナウンスでは、5回履いたら一度ケアすることを推奨しています。
ちなみに、革靴は何度か履いていると、革の表面が白っぽくなったり・傷がついたような状態が確認できます。これは乾燥のサイン。人で言うところの肌荒れを起こし始めた状態なので、早めのケアが必要です。
また、雨で靴がかなり濡れてしまったら、ケアに出しましょう。その前に帰宅したら靴の中に新聞紙やキッチンペーパーを詰めて水分を除去します。水分が残ったままケアも出さずに放置すると、カビの発生率が高まるので要注意です。
- Q:セルフメンテナンスで押さえておきたいポイントは?
- ブラッシングをしましょう。靴に付着した細かなホコリは革に含まれた油分を吸ってしまうので、そのままにしておくのは危険。知らないうちに靴の乾燥が進んでしまいます。おすすめのブラシは、当店が大阪の靴磨き店「THE WAY THINGS GO」の〈KINKOUブラシ〉に別注したモデルです(笑)。
ブラッシングは手軽ですが、それでも億劫だと思うなら、履いた靴を見つめてあげてください。1日履いた靴をじっくり見つめると、履く前になかったシワや汚れが確認できると思います。それらから皆さんが何を感じ取るか。「きれいにしなきゃ」「味が出てきたから大事にしよう」と思ったら、ブラッシングです。僕は靴を見つめることもシューケアだと思っています。
あと、シューツリーは必ず使ってください。靴のフォルムが崩れません。スーツもハンガーにかけないまま収納しておくと型崩れや余分なシワができます。それと同じですね。
- Q:過去2回出場されたという靴磨き選手権について教えてください
- 靴磨きの仕事を続けていくうちに、自分を信じる根拠となる何かを求めるようになったんです。そんな時、東京銀座で靴磨き選手権が開催されることを知って、「いい成績を残せば、自信をもてる」と考えました。
初めて出場した2019年大会は予選で敗退しましたが、翌2020年大会は決勝に。最終的には3位になり、これで胸を張って「いい腕、持っています」と言えるようになったのかな、と。
実は2020年大会には、靴磨きを通じて仲が深まった知人男性も出場していたんです。その彼とは、「いつか同じ舞台に立ちたい」と話していたんです。彼が優勝しましたが、自分のことのように喜びましたよ。
- Q:とっておきの一足を見せてください
- 〈ORIENTAL(オリエンタル)〉でパターンオーダーしたミュージアムカーフのタッセルローファーです。大会に一緒に出た彼から教えてもらい、試し履きをしたら惚れてしまいました。以来、〈ORIENTAL〉のファンになって10足ほど購入。店でも販売させてもらっています。
- Q:最後にShoes Lifeを読んでいる方に一言お願いします。
- 靴磨きビギナーの中には「ボロボロ過ぎて、プロに見せるのが恥ずかしい」とおっしゃる方もいますが、まったく問題ありません。僕は、靴磨きを依頼するということは、モノを大切に扱いたい気持ちの表れだと思っています。その気持ちに全力でお応えしますので、本当に気軽に相談してほしいですね。
取材中、アパレルメーカーの方が靴磨きの依頼にやってきた。ファッションの玄人からも支持される店ならば、安心して愛用の一足を預けることができるだろう。「京都人の足元をかっこよくします」と意気込む樺澤氏の技術と知識をぜひ頼ってほしい。