2026年5月9日、第8回ロンドンスーパートランクショーが開催され、靴磨き世界大会とシューパティーヌ世界大会の決勝、靴作り世界大会の表彰式が行われました。
靴磨き世界大会ではBoston&ReOlds𠮷冨純弘さんが優勝、PLSB上田那央樹さんが準優勝しました。
さらに、靴作り世界大会では片岡謙さんが優勝し、今年も日本勢が活躍を見せました。
今回は、当日の模様をロングレポートでお届けします。
なお、本記事はShoegazingに掲載のReport – London Super Trunk Show 2026を意訳したものです。
2026年5月9日、靴の一大イベント第8回ロンドンスーパートランクショーが開催され、靴磨き、シューパティーヌ、靴作りの3部門の世界大会で盛り上がりました。
今回は、全出展者、世界大会、ステージイベントの写真満載で当日のロングレポートをお届けします。
あたたかな行楽日和だったからか、はたまたほかの理由からか、例年より客足が鈍いスタートでした。
午後になると事態が好転し、ロンドンの中心部リージェント・ストリート12番地にある会場のShowcase.co(ショーケース)は大いに賑わい、今年も延べ1,000人を越える来場者がありました。
主催者の私たちイェスペル・インゲヴァルソン(シューゲイジング)、ジャスティン・フィッツパトリック(ザ・シュー・スノッブ)、カービー・アリソン(YouTubeチャンネルとオンラインストアでおなじみ)は胸をなでおろしました。
ロンドンスーパートランクショーには確たる基盤があるとはいえ、何度も足を運んでくださっている方々にも新鮮な気持ちで楽しんでいただけるよう常に進化を目指しています。
今年は、昨年のニューヨークとシンガポールのスーパートランクショーと同様に短いステージセッションを導入しました。
(世界大会が行われていない)時間をたっぷり使って少人数のグループを対象に実施し、質疑応答で交流と理解を深めました。
世界大会と違いライブ配信はされず、来場者限定の企画です。
最初に、ビスポーク靴職人のウィリアム・エフェ・ラボルドさんとダニエル・ヴィガンさんが登場。
現代のデジタル社会においてフリーの靴職人にチャンスが増えていることに触れ、ビスポークの靴作りの現状について興味深いお話を伺いました。
続いて、靴磨き世界大会初代王者にしてBrift H代表の長谷川裕也(はせがわ・ゆうや)さんが、受講者にアンティーク仕上げを伝授しました。
その後、ブリドレンの経営者アファン・モハメドさんが、靴工場の経営や若い従業員を獲得するための独自の試みなど、大いに語りました。
最後のセッションではサフィールが司会を務め、チーニーのユアン・リックスさんが、スエードシューズを長持ちさせるベストなお手入れ方法を披露しました。
スーパートランクショーの要となるのは、もちろん展示です。
プラチナスポンサーがいちばん広いスペースを使用します。
サフィールは、今回も実に幅広い高級シューケア製品を大量に展示。
売れ行きも好調でした。
今年は無料の靴磨きサービスがグレードアップ。
ボウベルズ・シューシャインのマルクさんが基本の靴磨きを行い、さらに希望者には、2024年の靴磨き世界大会を制したBoston & ReOldsボストン&リオールズの西上悦弘(にしがみ・よしひろ)さんが鏡面磨きを行いました。
ブリドレンは、ライニングのないチャッカブーツにローファー、やわらかいニトリルラバーソールのデッキシューズ風ダービーなど、カジュアル寄りの商品を中心に展示。
たしかな品質の靴を手ごろな価格で購入でき、最近ではDDP(関税込み持込渡し)で海外にも発送してくれるとあって、評判は右肩上がりです。
ゴールドスポンサーでは、イタリアのCalzoleria Carlinoカルツォレリア・カルリーノが華々しくスーパートランクショーにデビューしました。
すべて手作業でMTO(Made to Order: メイド・トゥ・オーダー)、MTM(Made to Measure: メイド・トゥ・メジャー)、ビスポーク(リモート可)生産を行っており、ショー当日と6月はエキゾチックレザーをカーフと同じ価格で提供。
展示には、アリゲーター、クロコダイル、シール(アザラシ)、ヒッポ(カバ)、エレファント、スティングレイ(エイ)、ピッグなどが並びました。
ベトナムのCNESは、押しも押されもせぬアジアの人気ブランドとしての地位を国際的に確立しており、ハンドソーンウェルト、グッドイヤーウェルト、ノルウィージャン、ブレイクなどの製法で高級紳士靴を提供しています。
手頃な価格にもかかわらず高品質で、さまざまなスタイルのデザイン性が高い靴を豊富に取りそろえています。
そして、もちろんシルバースポンサーも充実のラインナップでした。
今年は新たなタイプの出展者を追加して展示品の幅を広げ、好評を博しました。
フットウェアが展示の中心であり揺るぎない基盤であることにもちろん変わりはありませんが、今後、もう少し規模を拡大できれば、靴以外も展示したいと考えています。
今回は、イタリアから傘ブランドのFrancesco Maglia マリア・フランチェスコと靴下メーカーのBresciani ブレッシアーニ、スコットランドからグルーミングブランドのCastle Forbes キャッスル・フォーブス、イギリスからレザー製品卸売りのEuroleathers ユーロレザーズが出展しました。
靴ブランドは、再出展となるインドのBLKBRD(ブラックバード)、中国のTwinkima.G トゥインキーマ・Gと Yearn ヤーンに加え、インドネシアのRenav Goods レナヴ・グッズが初出展しました。
そして、ロンドンスーパートランクショーの目玉はもちろん、靴の三大世界大会です。
まずは、ショー開場直後にスタートしたシューパティーヌ世界大会。
サフィール提供のレザーダイ、靴クリーム、ワックスポリッシュを使って、ブリドレン提供のクラストレザーのペニーローファーを1日がかりで変身させました。
ファイナリストは、フランスのマンディ・マリーさんとトアン・ジュニーさん、フィンランドのベルク・キルマンさんです。
下の画像のとおり、三者三様のすばらしい作品が完成しましたが、厳正なる審査の結果、手の込んだパティーヌでさまざまなテクニックを見せたトアン・ジュニーさんが金メダルを獲得しました。
2個目の金メダル獲得は、3大会を通じて初の快挙です。
マンディ・マリーさんが銀メダル、ベルク・キルマンさんが銅メダルを獲得しました。
午後は、ステージエリアを拡大して靴磨き世界大会を開催しました。
3つの世界大会の中で最も歴史が長く有名なこの大会では、3人のファイナリストがサフィールノワールのワックスポリッシュを使って新品のブリドレンの靴を20分で最高の状態に磨き上げます。
日本の上田那央樹(うえだ・なおき)さんと𠮷冨純弘(よしどみ・あつひろ)さんはともに2度目の決勝進出で、満を持して悲願の金メダルを狙います。
2人を迎え撃つのは、フランスのバンジャマン・ヴァレルさんです。
見事に磨き上げられた3足の中で接戦を制したのは、深みのある際立った光沢を出した𠮷冨純弘さん。
ボストン&リオールズの同僚で元世界王者の西上悦弘さんとともに優勝を祝いました。
準優勝は上田那央樹さん、第3位はバンジャマン・ヴァレルさんでした。
靴作り世界大会では、例年通り全応募作品が展示されました。
今年の課題は、ブラックのチェルシーブーツ。
製法はハンドソーンウェルトで底付けは手縫いです。
靴職人と専門家で構成された審査員が匿名の20作品をショーの前日に審査、決勝のステージで上位10足が発表されました。
第3位はロシアのドミトリー・アフトゥコフさん、中国の工房トゥインキーマ・Gが見事第2位に輝きました。
そして、過去2回第2位となった日本の片岡謙(かたおか・けん)さんが、見る者の度肝を抜く靴でついに世界王者の栄冠を手にしました。
上位3作品の作者には、カービー・アリソン、書籍プロジェクトのマスター・シューメーカーズ、パーカー・スケネッカーさんが出資した6,000ポンドの賞金が分配されます。
また、副賞として、フィル・ノースワーシーさんお手製のオウル、そしてメダルが贈られます。
上位3作品は、シューパティーヌ世界大会優勝作品とともに毎年恒例の世界巡回展示の旅に出ます。
スーパートランクショーをはさんだ週末は、高級靴業界の重要な社交場としての役割をいっそう強固にしています。
スーパートランクショーがもちろんメインですが、金曜の夜はカルミーナのロンドン店で私たちがイベントを主催して盛況だったほか、いろいろな寄り合いから「アフタースーパートランクショー」と称したもろもろの打ち上げまで、今年はショーの前後にたくさんのイベントが行われました。
次回のスーパートランクショーは2026年11月6日と7日、開催地をニューヨークからシカゴへ移し、スティッチダウン・エキスポと共同開催します。(詳細は既報のとおり)
そして、第2回シンガポールスーパートランクショーは2027年1月か2月の開催です。(日程は決定次第お知らせします)
続報をお待ちください。
なお、ロンドンスーパートランクショーは2027年5月に開催予定です。
このイベントをここまで大きくしてくださったすべてのみなさんに感謝いたします!
本記事の最後で3大会決勝と表彰式のライブ配信アーカイブをご覧いただけます。
ほかにもたくさんの動画をカービー・アリソンのYouTubeチャンネルで近日公開予定です。
▼靴磨き世界大会決勝
▼シューパティーヌ世界大会・靴作り世界大会表彰式
いかがでしたか。
あらためまして、𠮷冨さん、上田さん、片岡さん、おめでとうございます! おつかれさまでした。
そして、シューパティーヌ世界大会では、2022年に優勝、2024年から3年連続決勝進出のトアン・ジュニーさんが見事2度目の優勝を果たしました。
切磋琢磨して挑戦を続けるみなさんの不屈の精神に頭が下がります。
さて、次回のスーパートランクショーは初のシカゴ開催。
しかも人気の靴イベントとのコラボとあって、期待が高まります。
詳細を待ちましょう!




