靴紐のある靴は新石器時代にも存在しました。
古代、エトルリア人やローマ人が靴紐のある靴を履いていました。
中世とルネッサンス期には、靴紐は革や天然素材のほか絹のような高級な繊維でも作られ、貴族の靴を飾りました。
18世紀、木製や鉄製織機により、丈夫で細い靴紐の製造が確立しました。
19世紀に入ると、蒸気機関の発達により、本格的な靴紐製造業がいよいよ誕生しました。
「おかしなことに、靴紐を結び直すのがうれしくてたまらないのだ。出かけようとしたらほどけていると、なおさら」
フィリップ・ドレルム 著/高橋啓 訳(1997)『ビールの最初の一口とその他のささやかな楽しみ』(引用文の訳はShoeslife)
そして現在、サフィールのシューレース(靴紐)はフランスで生産されています。
工房では、昔ながらの技術を受け継ぎ、すぐれた品質の靴紐を製造しています。
あらゆるタイプの靴に合う、サイズ展開が豊富なサフィールのシューレースは、コットンを編み込んで作られています。
柔軟性があり、革靴との相性が抜群です。
19世紀の木製織機と「スロー・ブレイディング」(低速編み)技術を用いて、現在も伝統的な製法で作られているため、5メートルのシューレースを製造するのに1時間かかります。
量より質を重視するゆえの低収量です。
実際、繊維を強く伸ばして傷めてしまう近代的な高速織機とは異なり、このような旧式の低速織機は非常に繊細な作業を可能にします。
編み込みが緻密なので、繊維がつぶれず靴紐が丈夫になります。