これまでも海外のシューケア事情をご紹介してきましたが、今回は、フランス本国のサフィールのホームページ saphir.com に掲載中の「 The most common mistakes and how to avoid them when taking care of your shoes (ルイ・ランペルツデルファー氏著)」に書かれている、6つのポイントについてご紹介します。
革の種類や状態によって方法を変えたりアレンジしたり、ご自身にとって最良の方法やお気に入りのシューケア道具を見つけることも、シューケアを行う時の楽しみの1つですよね。
どのようなポイントがあるのか、さっそく見ていきましょう。
特に注意したいのは、アッパーとウェルトの隙間、いわゆる❝コバ❞と呼ばれる所です。
水が入りやすいこの部分には、靴クリームを行き届かせることで、栄養を与え保護することが非常に重要です。ここに汚れが溜まっていると、靴クリームが革に届かず栄養分と保護成分を与えることができません。
汚れやゴミを落とすのに最適なサフィールノワールのブリストルポリッシャーブラシを使って汚れをすべて落としてください。天然毛ブラシなので靴の縫い目を傷めません。人工毛ブラシは天然毛ブラシより硬いものが多く、(綿糸が使われている場合は特に)アッパーの縫い糸を傷める恐れがあります。
私たちが普段行う❝ホコリを落とす❞際に気を付けていることや、天然毛を使用することは共通しています。
柔らかい馬毛のブラシを使用する場合が多いですが、ここでは豚毛のブラシを使用するとあります。馬と豚の違いはあれど、ホコリなどを予め取り除く目的は同じですね。
汚れや古いワックスが靴に残っているときは、サフィールの植物性クリーナーをふくませた布で拭き取ってください。汚れがひどいときは、植物性クリーナーよりも強力なサフィールのレノマットリムーバーをお使いください。
革が汚れていると、クリームの栄養分や保護成分を吸収できません。クリームの油分で革に汚れが染み込んでしまうので、汚れた革に靴クリームを塗らないでください。
靴にパティーヌ仕上げを施している場合や鏡面磨きの層をすべて取り除きたくない場合は、靴の仕上げを落とすことなく汚れをやさしく落とすサフィールノワールのレザーバームローションをお勧めします。
靴をお手入れする前に汚れを落とすのは大切ですが、やりすぎは禁物です。クリーナーを塗りすぎると革を傷める恐れがあります。汚れ落とし効果の高いクリーナーの使用は、どうしても落ちない汚れやワックスがある場合のみに留めましょう。
クリーナーを使用する場合も、汚れの度合いなどの状態によって使い分けることがポイントです。
靴クリームやポリッシュを塗る前に、靴をしっかりと乾燥させることが大切です。雨に濡れたり丸洗いを行ったりした靴は、クリーム類を塗る前に必要に応じて乾燥させてください。
つい試してみたくなりますが、靴をヒーターで乾かさないでください。急速に乾かすと革が縮み、水濡れの跡が残りやすくなります。かならずシューツリーを入れて、時間をかけて乾燥させてください。
なぜなら、水が革の繊維構造に浸透して湿った状態の革に靴クリームを塗っても、浸透せず栄養を与えることができません。
ついつい急いで乾かそうと考えてしまいますが、靴クリームを浸透させるためにも革へのダメージを避けるためにも、時間をかけてしっかり乾かすことは重要です。また、靴クリームの栄養を靴の美しい形状を保つためにも、靴に合った質のいいシューツリーを選ぶことが大切です。
木は湿気を吸収し乾燥を促すので、プラスチック製のシューツリーよりも木製のシューツリーが効果的です。また、かかとの形状が適切なシューツリーを使うことも大切です。
靴の適切な形状を維持するために開発されたサフィールノワールとコルドヌリアングレーズのシューツリーは、多くの一流靴メーカーに選ばれています。
バネキーパーは軽量なので、シューケア時に使用したり旅行の際に使用できて、とても便利ですが、長期保管する場合は、バネキーパーよりもかかとの形状が保たれる形状のシューツリーがお勧めです。
靴には摩耗したり水に濡れたりしやすい部分があります。ふだん履いているうちに、特に傷がつきやすいつま先にはポリッシュを塗り重ねると、抜群の保護効果を発揮します。
しかし、目立たなくても注意が必要な部分がほかにもあるのです。一番最初のポイントでも触れましたが、忘れがちなのがアッパーとソールの境目のコバ部分です。ここから水が染み込みやすく、大きなダメージを与える原因となります。
グッドイヤーウェルト製法の靴は、底材がアッパーに縫い付けてあり、この縫い目から水が染み込む可能性があります。ここから水が入ると、コルクフィリング(中物)とインソールの接着が剥がれてしまい、コルクが破損する恐れがあります。
こうなることを避けるためにも、 サフィールノワール アプライブラシを使ってこの境目にまで靴クリームを塗り、水の浸透を防ぎ靴の内部を保護しましょう。
このひと手間が、靴の寿命が格段に延ばすことができるポイントとなるわけです。
サフィールノワールのアプライブラシの四角い形状は、甲やつま先、かかとといった広い部分を面で塗り伸ばすことができる上に、コバなどの細部にクリームを塗る時も一役買っています。
コードバン革には専用のコードバンクリーム、オイルドレザーにはオイルドレザークリームやオイルドレザーローションなど、サフィールはあらゆるニーズにお応えするべく、製品はすべて特定の目的を想定して開発されており、さまざまなタイプの革向けに特殊な成分が配合されています。
皆様の大切な革靴や皮革製品を、長く美しくお使いいただく事を意識した製品作りは、サフィールの拘りの部分でもあります。
靴に塗ったクリームの栄養分と保護成分がすべて革に吸収されるまで少々時間がかかります。
ポリッシャーホースヘアブラシで靴を磨いているのに、革に光沢が出ずスムーズにブラッシングできないことがあります。これは、クリームの成分と油分が完全に吸収されていないためです。あと5分置いてしっかり吸収させましょう。
ここでは、時間を置いて馬毛のブラシで磨くことを提案されていますが、クリームを塗った後は、あまり時間を置かずに豚毛のブラシを使って靴クリームを革になじませるようにブラッシングする方法もお勧めです。
しっかりとブラッシングする事で、靴クリームが革に浸透し、摩擦熱によってツヤが出ます。
靴やバッグのコントラストステッチをうっかり汚してしまう、これも簡単に避けられる失敗のひとつです。
上品な手縫いのエプロンフロントのように、装飾目的で革の色と違う色でステッチを施すことがあります。
そこにクリームを塗って革と同じ色に染めてしまい、上品で繊細なコントラストが失われるのはもったいないですよね? このような手縫いのステッチは、クリームの色に染まりやすい綿糸か麻糸で施されることが多いのです。
このような場合、サフィールノワールのレノベイタークリームのような無色のクリームを使うといいでしょう。革の色が褪せてきたら、ステッチに付かないよう細心の注意を払って色付きのクリームを塗りましょう。
以上、革靴のお手入れ時に気を付けたい6つのポイントを、商品の情報を一緒にご紹介しました。
まだ試していない方法がもしあれば、美しい靴を長持ちさせるために、いつものお手入れに取り入れてみるのも良いかもしれません。
引き続き、靴やシューケアに関する海外の情報をご紹介していきます。
次回もお楽しみに。
本記事で紹介した商品はこちらで購入できます。
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