独特な質感や耐久性に優れているだけでなく、希少性も魅力のコードバン。
「革の宝石」「革のダイヤモンド」「幻の革」などと称されることもあるコードバンは、靴だけではなく、お財布やベルトといった革小物を愛用されている人も多いと思います。
高級品でもある、コードバン革製品ですが、いったいどうやって作られているのか、また、お手入れはどうすれば良いか、気になりますよね。
今回は、saphir.comのJournalで公開されている記事を日本語訳でご紹介します。さっそく見ていきましょう。
本記事はsaphir.comに掲載されている記事What is Cordovan and how to take care of itを、日本語意訳でご紹介しています。
その評判を聞き及び、コードバンの靴をお持ちの方やこれから購入を検討しているという方は多いことでしょう。
この記事では、どの皮がどのように加工されコードバンになるか、そしてそのお手入れ方法について、コードバンのすべてを紹介します。
コードバンはもともと馬の革ですが、すべてがコードバンになるわけではありません。
貝殻の形に似ていることから“シェル”と呼ばれる馬の臀部からしかコードバンは採れないので、シェルコードバンとも称されます。この部位の緻密な繊維構造がコードバンの特徴である耐久性と強度の源となっています。
比較的大型の動物である馬から製造できるシェルコードバンはわずか靴一足分で、コードバンが大変希少で高価なのはこのためです。
コードバンの製造工程は、カーフやキッドスキンのような普通のスムースレザーの製造工程と多くの点で異なります。製造期間は約6カ月と非常に長く、多くの手作業と手間のかかる工程を伴います。
靴のアッパーの革は回転ドラム槽で鞣すのが一般的ですが、コードバンの原皮は、ソール用レザーの製造工程で一般的に使用されるピット槽でタンニン鞣しされます。植物タンニン鞣しの工程でオイルを染み込ませることで、コードバン独特の風合いが生まれます。スポンジを思わせる植物タンニン鞣し革の手触りがあり、クロム鞣し革ほど硬くなく、オイルがたっぷり染み込んでいるのでしっとりとしています。
鞣し工程におけるこの2つのステップによってコードバン独特の風合いが生まれますが、その独特な表情の正体には驚かれるかもしれません。大半のレザーと異なり、コードバンのなめらかでつやのある表面は原皮の銀面(オモテ面)ではなく、実は繊維構造が銀面同様なめらかになるまで集中的に磨き上げられた床面(ウラ面)なのです。
大きなスチールホイールで原皮につやを出す工程(グレージング)で繊維を何度も圧縮し表面がなめらかになったら、ワックスで仕上げます。最も有名なコードバンのタンナーはアメリカのホーウィン社ですが、日本のタンナーの新喜皮革とレーデルオガワやイタリアのタンナーも極上のコードバンを製造しています。コードバン特有のこれらの性質を踏まえたうえで、コードバンのお手入れで注意しなければいけない点を見ていきましょう。
コードバンにはオイルがたっぷり染み込んでいてとても珍しい方法で仕上げられていることがわかりました。コードバンを傷めないために、これらの特性に照準を合わせたお手入れがシューズにも必要になります。
サフィールノワール コードバンクリームはその条件を完全に満たす材料を厳選して使用しています。レザーの奥深くまで浸透する純正ニートフットオイル(牛脚油)配合で、油分を保ち乾燥を防ぎます。
ビーズワックスと高濃度の顔料が配合されているのでコードバンの特徴的な表情が簡単に蘇ります。また、厳選した溶剤を使用しているので本来の仕上がりを損ないません。
一般的にコードバンは耐久性に優れていますが、定期的なお手入れが必要です。油分を多く含んでいるため比較的水濡れに強いので、この油分を保つことが重要なのです。
コードバンシューズに傷がついても、たいていはコードバンクリームとやわらかい布かディアボーン(鹿の骨)で簡単に消すことができます。繊維が元に戻るように軽い力で押してください。その際、靴の変形を防ぐために必ず靴にシューツリーを入れてください。
コードバンシューズに鏡面磨きを施すなら、ハードワックスをふんだんに使用していて溶剤の含有量が少ないサフィールノワール ミラーグロスをお勧めします。
溶剤はコードバン本来の仕上がりを損なうことがあります。溶剤の含有量が少ないミラーグロスはコードバンの鏡面磨きに最適な商品です。
以上、コードバンができるまでとお手入れ方法を詳しくご紹介しました。
あの独特な光沢や質感は、こうした過程を経て得られるものなんですね。
タフさと柔らかくしなやかな特徴を併せ持つ皮革のひとつ、コードバン。魅力を感じるポイントがたくさんあって、ファンが多いのも頷けます。
今回は、saphir.comのJournalにて公開中の記事「What is Cordovan and how to take care of it」の日本語訳でご紹介しました。
文:ルイ・ランペルツデルファー(インスタグラム:@louislampertsdoerfer)
次回の海外情報記事もお楽しみに!
コードバンのお手入れについて、2nd(枻出版社より発刊)で紹介されました。
取材について書かれた記事はこちら
この記事でご紹介したサフィールノワール製品の購入はこちら
おすすめの関連記事