年末の大掃除でよくあるのが、「こんなところにあったんだ!」という今ではすっかり忘れ去られていた思い出の品との再会です。
昔愛用していた革靴やバッグとの再会を果たすと、なんともいい得ないエモい感情が湧き出てきますよね。
懐かしさに浸り、久しぶりに使ってみるか!と思ったのも束の間、至る所にできてしまった擦れキズや色あせが…。
新年の清々しい気分で使うには少々気後れしてしまう状態になっていることがあります。
大掃除のついでに捨ててしまった方もいるかもしれませんが、思い出の品を手放すことはなかなか辛いものです。
しかし、サフィールには、そんな大切な品々をよみがえらせる素晴らしい製品があります。
ここで、“サフィール通”の方であればピンと来るかもしれません。
擦れキズや色あせをカバーする画期的な製品といえば、サフィールの【レノベイティングカラー補修チューブ】ですよね。
スムース革の皮革製品全般に使用できる着色補修クリーム。
非常に発色が良く、アクリル特有の柔軟性があるので屈曲や擦れに強く、定着力も抜群なのが特長で、靴のコバや、カバンの角など、色が剥げてしまったり、キズがついてしまった箇所をカバーできます。
使い勝手の良さとプロ顔負けのクオリティの高い補修ができることで、たくさんの方にご愛用され、リピート率の高い製品です。
しかし今回は、レノベイティングカラー補修チューブを使ったビフォーアフターを紹介するだけではありません。
もうひとつ、弊社が誇る“補修に優れた”製品があることをご存知でしょうか?
それが、サフィールの兄弟ブランド・タラゴの【スニーカーペイント】です。
色を塗ったり、絵を描いて好みのデザインに仕上げたり、キズや色あせ部分を補色できるアクリル系水性顔料を用いたカスタム専用塗料。
顔料濃度が高いため強力な補色力・カバー力があり、湿気や乾燥、摩擦、屈曲等への耐久性に優れています。
スニーカーカスタムをされる方にはおなじみですが、実は、スニーカーだけでなく、革靴やバッグ、布製の物にも使用でき、リメイクもリペアも何でもござれの優れた製品なのです。
今回は、この2つの製品を実際に使用し、それぞれの特徴や仕上がりの違いなどを比較検証したいと思います。
使用工程において、製品の特徴やポイントをご紹介していくので、仕上がりの出来栄えも踏まえてご自身に合う方をお選びください。
1.カラーバリエーション
2.下準備
3.色の選び方・作り方
4.塗り方
5.スニーカーペイントにはドライヤーで熱を加える
6.境目はローションでなじませる
7.仕上げ
レノベイティングカラー補修チューブを使用するのは、KATHARINE HAMNETT LONDON(キャサリンハムネットロンドン)の財布。
全体の擦れや色あせ、爪で引っ掻いたような目立つキズがあります。
スニーカーペイントを使用するのは、LANVIN en Bleu(ランバンオンブルー)の財布。
こちらは全体の塗料が剥がれてしまい、くすみも見られます。
この2つの財布にそれぞれの製品を振り分けた理由が、1つめのポイントです。
革製品でよく見るブラウン系の色や、アースカラーのような自然な色を補修したいなら、レノベイティングカラー補修チューブがおすすめです。
レノベイティングカラー補修チューブには、ブラウン系に分類される色が9種類あり、(さらにベージュ系も含めると約15種類も!)明るいライトブラウン(#03)から、暗いボアブラウン(#32)まで、かすかな違いのグラデーションの中から選択することができます。
一方、スニーカーペイントにはブラウン系が少なく、自然な色を見つけることが少々難点。
その代わり、財布のようなパステルカラーやビビッドカラーを得意とするので、“水色”と呼べる色が7種類もあります。
反対に、レノベイティングカラー補修チューブはパステルカラーの種類が少ないです。
ちなみに、双方のカラーバリエーションは以下の通りです。
色補修する際は、汚れ落としや補修面を整えるサンディング(やすり)など下準備が大切です。
今回は、どちらもシボの深い革なのでサンディングは不要ですが、革表面が荒れている場合はサンドペーパ―で均してください。
レノベイティングカラー補修チューブの前に使う汚れ落としは、サフィール【レノマットリムーバー】が最適です。
補修面に、汚れや元々塗布されているクリーム・ワックスが残っていると定着が悪いので、必ず綺麗に拭き取り、すっぴん状態にしてください。
色の選び方はどちらも同じで、「ただひたすら近い色を探す!」に尽きます。
1色でマッチすればいいのですが、なかなかそんなウマい話はなく、2~3色を混ぜて作ることとなるはずです。
コツは、紙や皿に近似色を出し、薄い色に濃い色を少量ずつ加えて混ぜていきます。
キャサリンハムネットの財布は、レノベイティングカラー補修チューブのダークブラウン(#05)とカーキ(#28)を調色しました。
レノベイティングカラー補修チューブは、アクリル絵の具のような硬さのある塗料なので、広範囲に塗り広げる場合や、色を薄めたい場合は水を足して調節してください。
硬さのあるそのままで塗布すると、今回のようにシボの深い革はシボの溝に埋まり、風合いが変わってしまい違和感が出るので注意が必要です。
ここでポイントなのが、レノベイティングカラー補修チューブの色を明るくしたり、薄くしたい時には水で調節するのもいいですが、あまり水を入れすぎるとカバー力が弱まってしまうので、そんな時は【レノベイティングカラー補修チューブ うすめ用】がおすすめです。
色の濃度はそのままに、色味だけを薄くしたいという時に最適な無色透明のクリームです。
明度や彩度を変えたい時に、間違っても「白」は混ぜないようにしてください。
白を混ぜると、パステル系になってしまい雰囲気がガラリと変わり、求めている色合いから遠くなる恐れがあります。
ランバンオンブルーの財布は、スニーカーペイントのイージー(#805)とパステルオレンジ(#750)を調色しました。
レノベイティングカラー補修に比べ、とろみのある液体なので混ぜやすいですが、こちらも粘度があると厚塗りになり不自然な仕上がりとなってしまうので、タラゴ【コーティング・薄め剤】で粘度調節をすると便利です。
レノベイティングカラー補修チューブもスニーカーペイントも、筆の先に少量つけて塗布します。
色が合っているかのチェックも兼ね、必ず角や内側など目立たない箇所から塗り広げていくようにしてください。
レノベイティングカラー補修チューブは、希望の色合いになるまで何度も薄く重ね塗りします。
水の配合率によっても塗り重ねる回数は変わりますが、なるべく少なく済むように粘度調整をすると、より自然に仕上がります。
スニーカーペイントは、筆の動かし方にもコツがあります。
ペンキのようにペタペタと塗ると、筆の通った跡が残ってしまうだけでなく、シボの奥まで塗ることができず、結果として厚塗りしてしまい不自然な仕上がりとなります。
筆は、歯磨きのように小刻みに動かすと、筆筋も目立たず、シボの奥まで塗料が入ります。
スニーカーペイントは非常に発色が良いので、1回の塗布で十分に着色しますが、こちらも希望の色合いになるまで薄く重ね塗りしてください。
スニーカーペイントは、必ずドライヤーの温風を30cmほど離した場所からかけ、塗料を定着させながら重ね塗りしてください。
レノベイティングカラー補修チューブを塗布した箇所と塗布していない箇所の境目は、完全に乾く前に、サフィール【ユニバーサルレザーローション】を指で塗布し、周囲となじませます。
厚塗りして、境目をぼかさずに仕上げた例がこちらです。
シボが埋まり、テカリが出てしまい周囲との差がくっきりと分かります。
水で調整せず、原液のまま塗布してもこのように仕上がるので注意してください。
レノベイティングカラー補修チューブは、自然乾燥が基本です。
塗布した量や範囲にもよりますが、通常であれば数時間~1日ほどで完全に乾きます。
乾燥後はマットな仕上がりとなるので、ツヤが欲しい場合は、先ほどご紹介した【ユニバーサルレザーローション】を、ツヤが不要の場合は、【デリケートクリーム】などお好みに合った保革クリームを塗布して仕上げてください。
スニーカーペイントは、ドライヤーの熱をかけるので通常であれば数時間で完全に乾きます。
乾燥後は、色止めとして【スニーカーペイント コーティング・薄め剤】を塗布したり、お好みに合わせて【スニーカーマットメイカー(ツヤなし)】、【スニーカーグロスメイカー(ツヤあり)】の仕上げ剤をスポンジで塗布して仕上げてください。
どちらも正しく使用すればシボをそのまま活かした仕上がりとなりますが、1回で十分に着色するスニーカーペイントの方が、より薄塗りができ自然です。
触り心地は両者どちらもベタつかず、補修前と何ら変わりありません。
■レノベイティングカラー補修チューブ…ブラウン系や、皮革製品によくある自然な革の色が得意
■スニーカーペイント…パステルカラーやビビッドカラーなど、カラフルな色が得意
■レノベイティングカラー補修チューブ…アクリル絵の具のようなクリーム状
■スニーカーペイント…トロッとした液状
■レノベイティングカラー補修チューブ…自然乾燥(水との配合率により乾きが遅い場合は、ドライヤーの冷風を当てる)
■スニーカーペイント…ドライヤーの熱を加える
■レノベイティングカラー補修チューブ…粘度があるので、角のスレなどは原液のまま塗布するとカバー力が抜群
■スニーカーペイント…元々がカスタム専用塗料のため発色が抜群なので、広範囲の補修にも向いている
いかがでしたでしょうか?
革靴に合わせて靴クリームを選ぶように、色補修も目的や好みに合わせて選びたいもの。
正直、何事もそうですが、「この財布には絶対これが合います!」という絶対的な答えは試してみないと分かりません。
なので、百聞は一見に如かず。大切な物をよみがえらせるためにも、まずは色々な方法を試してみて、ご自身のお気に入りを見つけてもらえたら嬉しいです。
さらに詳しく知りたい方は、公式YouTube動画をご覧ください!
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