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エナメルってどんな革?お手入れ前に知っておきたいエナメル革の基礎知識

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公開日:2022/10/27    /  最終更新日:2024/06/24

エナメルってどんな革?お手入れ前に知っておきたいエナメル革の基礎知識

“エナメルはメンテフリー”は、大きな間違いです!

素材特有の美しい光沢が魅力なエナメルの靴の画像です。

素材特有の美しい光沢が魅力なエナメルの靴

“エナメル”は素材特有の独特な光沢・質感が魅力的な素材で、広くファッションに取り入れられています。
季節が秋・冬となると夏場のカジュアルルックからドレッシーな装いへと変わり、そういったフォーマル/きれいめコーデな時に履くエナメルの靴は、日中の穏やかな陽射しや夜の街のイルミネーションを足元に映して、まばゆいほどの輝きで彩ってくれるアイテムです。

 

 

そんなとっても魅力的ですてきな素材であるエナメルで意外と知られていないのが、れっきとした「皮革素材」であるということ。
エナメル素材・生地の中で、“皮革素材”をウレタン樹脂でコーティングしたものを“エナメル革(レザー)”と称します。
天然皮革以外にも、合成皮革や目の詰まった布地(織物)にコーティングしたものも同様にエナメル素材に分類されるので、パッと見で下地の素材が革かどうかを見分けるのは難しいですが、上質なレザーを加工したエナメル革はアッパークラスのブランドでも重宝されており、靴以外にもバッグや財布・小物に多く用いられています。

 

 

余談ですが、エナメル革は他にも“パテント革(レザー)”とも呼ばれているのを、ご存知ですか?
これは水気や汚れに強い革の開発にあたって、エナメル加工による製法で「特許=Patent・パテント」を取得したことからそう呼ばれるようになったそうです。
したがって「パテント革=エナメル革」で、開発当時の技術の粋を結集した特殊素材と思ってもらって差し支えありません。

 

 

ということで、エナメル革は一応雨や水気に強く、汚れにくい(汚れても落としやすい)という特長を持った大変機能的な素材であることがわかりました。
これなら「お手入れもしやすそう」という風に思いますよね。

 

ところがどっこい、話はそう単純ではありません。

 

 

そんな皮革素材の優等生的な存在のエナメル革にも「弱点」があります。

 


  • 高温多湿にめっぽう弱い
  • 無理な屈曲に弱い
  • キズの補修が難しい
  • 色移りしやすい

 

以上に挙げたエナメルの弱点はズバリ、皮革をコーティングしている素材“ウレタン樹脂”の弱点です。

 

エナメル素材で主にコーティングに用いられるウレタン樹脂はポリウレタン(PU)です。
このポリウレタンがエナメルの素材としてのタフさを支えているのですが、同時に劣化や傷みの影響を大きく受ける箇所ともなるわけです。

履きジワにひび割れが入ってしまったエナメルのブーツの画像です。

それでは以下でエナメルの弱点についてもう少し詳しくご説明したいと思います。

弱点1.高温

ウレタン樹脂は熱に弱く、高温が続くと劣化が早まる特性があります。
過剰にやわらかくなってしまったり、ウレタン樹脂とベースの皮革が剥離してしまったり、最悪溶け出してベタつきが発生したり、といった症状が出ます。

 

 

弱点2.多湿

エナメルの素、ウレタン樹脂自体は水を弾く(浸透させない)特性を持つため、雨・水気に強い素材ではありますが、油断は禁物です。
水気に長く触れたままでいたり何なら空気中の湿気であっても、エナメルを構成するウレタン樹脂は加水分解という劣化を引き起こします。
加水分解とは「反応物に水が反応し、分解生成物が得られる反応」で、これをエナメルに置き換えると「ウレタン樹脂(や成形に用いる可塑剤=反応物)が湿気(=水)と反応して溶けたようなベタつき(=分解生成物)が発生」する現象を指します。

 

このような現象はエナメルという素材の経年による劣化であるため、完全な回避や予防は困難とされています。

 

特に日本の気候は欧米に比べて“高温多湿”なうえ、海外生産のエナメル製品は日本のような高温多湿下での製品使用を想定していないからか、特にインポートのエナメル製品で弱点1や2を要因とした劣化が多くみられる、と言われています。

弱点3.補修が困難

本革(コーティングなどの加工がされていないツヤ革や起毛革など)であれば少々キズがついても色を付けたり、紙やすりで削ってキズを目立たなくしたり、といった方法で容易に補修ができますが、エナメル革はそう簡単にはいきません。

 

ウレタン樹脂のコーティングは浸透性がないため、補色クリームを塗ろうにも素材になじまず浮いた仕上がりになってしまいます。いわゆる“塗った感”がバリバリの仕上がりです。
また紙やすりを使ってしまうと直すはずのキズの周囲に紙やすりによる擦り傷が入ってしまいます。すると前述の通り、補色クリームではツヤ革のキズ補修のような自然なカバーができずエナメル特有の透明感を損ねてしまうので、違和感が生じてかえって見た目の悪化を招くことになってしまいます。

 

では“サフィール ダイフレンチリキッド”のようなアルコール系染料であればどうでしょうか?
(参考:サフィールの染料による手染め仕上げについて

アルコール染料であるダイフレンチリキッドはウレタン樹脂にもしっかり浸透するのでエナメルを染色することは可能です。ただしその場合はリカラー(染め替え・カラーチェンジ)であって、思いきって元のイメージからガラッと変えてしまうことはできても、部分的にキズを目立たなくするといった補修はできません。
リカラーするにしても元の地の色と染料の色がバッチリ合えば良いのですが、基本的にキズやシミを目立たないように隠すには、より濃色に染める必要があるため、どちらにせよ元々のエナメル革の状態を取り戻したりよみがえらせたりするには不向きです。

 

またエナメルの靴にありがちなのが、“深く刻まれる履きジワ
牛革などツヤ革の靴であれば、シューツリーで形を整え靴クリームなどで油分を補充し柔軟性を保てれば、履きジワは消すことはできないまでもある程度目立たないようにすることはできます。

ところがエナメルは、樹脂のコーティングにシワが刻まれてしまうと直したり復元したりはまず困難です。

弱点4.色移りしやすい

場合によっては致命的なダメージとなるのが“色移り”です。

 

・他の靴と引っ付いたまま保管しておいたら、その靴の色がエナメルに移ってしまった………

・エナメルの財布を雑誌やチラシの上に置いたらくっついた!無理に剥がしたら跡が残ってしまった………

 

上記のようなトラブルはエナメル素材の製品にはよくある悩みです。
色移りはいくら強力な皮革用クリーナーで落とそうとしても、ほぼほぼ取り切ることはできません。
エナメルの色移りという症状は、汚れや移った色がエナメルの表面にくっついている(乗っかっている)わけではなく、他の靴に使われた染料や雑誌・チラシなど印刷物のインクをウレタン樹脂が吸いつけてしまい、接触している部分が“染色”された状態になってしまうのです。

したがって、エナメルの中へ染み込んでしまったインクや汚れは、どれだけ表面を擦ったとしても落ちないのです。。

 

こうなるともう何をやってもこのトラブルを個人で解消することは難しいので、ダイフレンチリキッド(サフィールブランドの皮革用染料)を使って黒色などの濃い色に染めてしまうのがてっとり早い復旧手段となります。

 

エナメル修復の専門業者の中にはこのようなトラブルの対応を得意としているところもあるようなので、もし色移りを染め替えではなく元通りに戻したい場合は潔くプロ・専門業者に診てもらうのがよいでしょう。

さて、一見扱いがかんたんそうにみえるエナメルですが、上記の通り気をつけなければならないことが非常に多くいです。
弱点・デメリットを詳しく語ってしまうと「エナメル(パテント)革って、めんどくさい………」という気持ちになってしまいますね。

 

ですが、わかっている弱点さえしっかり理解して細心の注意を払えば、そもそもが雨や汚れに強い素材(濡れたり汚れたりしてもひと拭きできれいになる)エナメルをダメージや劣化から保護し、美しさをキープするのはたやすく、長くきれいに使い続けることができる素材であるのもまた事実です。

 

 

ということで、エナメルという素材の特徴を理解いただいたところで、次回は具体的にエナメルお手入れする方法エナメル(パテント)のお手入れと長く使うコツについてご紹介します!

 


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