Featured Column

くすみのシューケア生活

ホーム > くすみのシューケア生活 > サフィールとサフィールノワールの商品設計の違いを徹底解説
公開日:2021/02/17 / 最終更新日:2021/02/17

サフィールとサフィールノワールの商品設計の違いを徹底解説

世界的にも有名なサフィールを展開するアベル社は、サフィールとサフィールノワールという2つのブランドを展開しています。サフィールノワールの商品の方が高価でより天然素材の高級な成分が含まれているからなんでしょ?というのはご存知の方も多いと思いますが、実はそんなに単純な話ではないのです。
商品を例に、2つのブランドの違いについてご紹介していきたいと思います。

植物性油分と動物性油分

まずは油分の話です。
サフィール、サフィールノワール(以後:ノワール)、両商品によく使われている油分には、植物性油分と動物性油分があります。例えば、サフィールの代表的なレザーケアグッズ・ユニバーサルレザーローションにはホホバオイルが。そして、ノワールの代表的なローション・レザーバームローションにはミンクオイルが含まれていますね。
この2つの油分は安価だから高価だからという違いだけで使い分けられているわけではありません。実はちゃんと理由がございます。

 

ホホバオイルは砂漠に生息するホホバから取れる植物性の油分です。高い保湿成分を発揮するため、化粧品などにも含まれる成分です。植物性の油は革の色を濃くしにくいという特徴があります。なので、紳士靴に比べると色数も多く淡色の靴が多い婦人靴に使っても、色を濃くしてしまう心配はありません。

また、ミンクオイルはイタチ科の動物・ミンクから取れる動物性の油分です。昔から革の栄養補給に使われてきた成分です。動物性の油は植物性の油よりもねっとりしたものが多く、革に対してしっかりと栄養補給をすることができます。婦人靴よりも厚手の革が使われている紳士靴にとってはより高い効果を発揮します。
ノワールのレザーバームローションは液状なのでミンクオイルの浸透は比較的早いですが、ノワールのミンクオイルだと塗ったあと馴染むのに多少時間がかかります。個人の感覚ですがノワールのミンクオイルは栄養補給効果が高く、革の柔軟性を保つ期間も長い感じがします。

 

植物性のオリーブオイルより豚肉などを使った料理のお皿を洗うときの方が少し大変なイメージに似ていると思うのですが、いかがでしょう?

植物性油分 ・保湿効果が高いが色を濃くしにくい
・薄手の革に最適
動物性油分 ・栄養補給効果が高く柔軟性を持続しやすい
・厚手の革に最適

ちなみにですが、サフィールの代表的なクリーム・ビーズワックスファインクリームにはアーモンドオイルが。そして、ノワールの代表的なクリーム・クレム1925にはシアバターが含まれています。どちらも植物由来の油分ですが、ノワールのレザーバームローション以外にも、レノベイタークリームやミンクオイルなど、総合的にミンクオイルが含まれているのもノワールの特徴です。

艶出し効果について

次はワックスによる艶出し効果についてです。
シューケアグッズでは頻繁に使われているロウ分にはビーズワックスとカルナバワックスがあります。サフィールをお使いの方には割と馴染みのある成分かと思います。
ビーズワックスはミツバチから取れるミツロウで、動物由来のワックスです。ツヤを出す効果の他には、革に柔軟性を与えさらに革表面に皮膜を張って革を保護する効果もあるのです。これを保革と表現します。
また、カルナバワックスはヤシの葉から取れる、植物由来のワックスです。ビーズワックスとは対照的に硬度が高くより強いツヤが出るワックスです。

 

サフィールのビーズワックスファインクリームにもノワールのクレム1925にも、どちらにも両成分が含まれていますが、クレム1925の方がカルナバワックスの配合量が多く、よりツヤを出すことのできる仕様になっています。
両ブランドのワックス・ビーズワックスポリッシュについても同じです。ノワールの方がよりツヤを出す成分配合になっています。

 

ちなみにですが、サフィールとノワールの製品で無色のクリームで黄色く変色してしまったご経験がある方もいらっしゃるかと思います。黄色く変色してしまうのは、純度の高いビーズワックスが使われているせいです。また、無色のクリームでも黄色く変色しないものは、ビーズワックスを脱色精製しているものになります。
どちらも問題なくお使いいただけますので、変色してしまうものがあってもご安心ください。

補色効果について

次はクリームの補色効果についてです。
サフィールの代表的なクリーム・ビーズワックスファインクリームは色展開が70種類以上。そして、ノワールの代表的なクリーム・クレム1925は色展開が16種類とかなり色数に違いがあります。

 

ビーズワックスファインクリームにはアーモンドオイルが含まれていますが、こちらも先にご紹介したホホバオイルと同じく革の色を濃くしにくいという特徴があり、紳士靴よりも薄手で色数の多い婦人靴には相性がよい成分です。そして、婦人靴の色数の多さに合わせて、クリームの色展開も多くなっているというわけです。

また、ビーズワックスファインクリームもクレム1925も顔料による補色効果を発揮しますが、クレム1925に含まれる顔料はより粒子が細かく染料のような補色効果を発揮するので、革の風合いを損ねることなく自然な仕上がりになることも特徴です。
一方でビーズワックスファインクリームは、単体だと革に表面に留まりにくい顔料をしっかりと革に定着させるためにアーモンドオイルやロウ分がふんだんに含まれています。

 

ちなみにですが、青いパッケージのサフィールと黒いパッケージのノワールには『青で彩る 黒で魅せる』というキャッチコピーが使われています。ここまで読んでいただけた方にはその意味がお分かりいただけたのではないかと思います。

汚れ落としについて

次はクリーナーについてです。
サフィールのクリーナーにはクリーニングローション、ノワールのクリーナーにはコンディショニングクリーナーという2つのクリーナーがあります。
どちらも革表面の古くなった成分のみを落とす、『落としすぎないクリーナー』というポジションの商品です。しかしおもしろいのは、クリーナーでありながら、両商品ともロウ分が含まれているというところです。

ノワールのコンディショニングクリーナーの方がロウ分の量が多いため、クリーニングローションよりも溶剤の量も多く、革に浸透しきれなかった表面の油分やロウ分を落としやすくなっています。目には目を、歯に歯を、ロウにはロウを、という考え方ですね。
さらに、コンディショニングクリーナーには界面活性剤が含まれているという違いもあります。

最後に

サフィールのクリーナーにはご存知レノマットリムーバーがありますが、そういえばノワールには同等のクリーナーはありませんね。
ノワールのレノマットリムーバーがもしあったとしたら、より強力なクリーナーになりそうなので、使いこなすのはなかなか難しそうだなと思ったり。笑

レノマットの使い方もこちらの記事で紹介されていますので、是非ご覧になってみてください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

強力汚れ落とし レノマットリムーバー その1


Writer profile

楠美 皓平 Kohei Kusumi

革靴ジャーナリスト・ブロガー

祖父に教えてもらった靴磨きがきっかけで、靴のお手入れ方法や革靴に興味を持ち、『革靴の魅力や靴磨きの楽しさをもっと多くの人に知ってほしい』という想いでブログやYouTubeで情報発信を行う。また、ファッションとしての革靴だけでなく、足を支える道具としての革靴という側面から、靴選びの大切さについても発信をすべく知見を深めている。
ブランドや職人の取材のライティングをする一方で、靴好きの方のコミュニティの活性化の一環としてイベント運営も手がける。
前職のwebディレクターの経験からシューメーカーのブランドサイトやオンラインショップの制作・カスタマイズ、広告運用を受け持ったり、ブランディングや商品開発のコンサルなども行う。

blog
https://kusumin.com/

YouTube
https://www.youtube.com/c/LeatherShoeJournal

instagram
https://www.instagram.com/starfish0925/

Copyright (c) Shoes Life All Rights Reserved.