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公開日:2021/03/17 / 最終更新日:2021/03/19

鏡面磨きのワックスは何日乾かすと最適な硬さになるのか?

鏡面磨き用のワックスは新品の状態だと柔らかすぎるため、数日間乾かして使うといいですよというのが、靴磨き愛好家たちの間では定石となっている昨今でございますが、「じゃあ、何日乾かしておくのがいいの?」というのが、愛好家だけでなく靴磨きをはじめたばかりの方々のちょっとした疑問なのではないかと思いました。

そこで今回はサフィールの総代理店ルボウさんにご協力いただき、新品のワックス5つを乾かして、最適な硬さを見つけようじゃないかという実験にチャレンジしてみたいと思います。

 

ワックスの硬さは好みもあるので、最適というのはあくまで僕個人の主観によるものですが、少しでも参考になれば幸いです。
よければご覧になってみてください。

実験内容

サフィールのビーズワックスポリッシュ5つを乾かし、3日〜7日乾かしたものの使い心地を比較していきます。季節は2月。エアコンの設定温度は25度です。(夜間はエアコン停止)
ちなみにですが、5つを同時に乾かすと部屋が溶剤の香りで充満します。風通しのいい場所やご家族の目を気にしなくてよい場所でお試しください。

 

少しフタを開けてホコリが入らないようにし、実験スタート。

ワックスを乾かすメリット・デメリット

3〜7日間乾かしたワックスの使い心地を比較することでわかったメリット・デメリットを先にまとめてみました。

メリット

当然ですが一番のメリットは乾燥していた方が塗り重ねやすいこと。
柔らかいワックスは素早く塗り重ねると前に塗ったワックスを溶かしてしまい、ワックスの層ができにくいです。しかし乾かしたワックスは塗った後の乾燥と定着が早く、ワックスを塗り重ねやすくなります。

デメリット

デメリットは乾かしすぎると少し粘り気が出て塗り伸ばしにくいことと、うまく塗り伸ばさないとワックスの塗りムラができて鏡面に凸凹ができやすくなることです。ここは技術が問われるところです!

また、粘り気が出ることによって、ホコリやネル生地の繊維も付着しやすくなるのでそのあたりのコントロールが必要になってきます。

ワックスの状態と使い心地

乾かしたワックスはこんな状態になっていました。
5分程度で下地を塗り重ねてみて、その使い心地の変化もご紹介してまいります。

1日乾かしたワックス

缶に沿ってヒビが入りました。
缶5つぶんの溶剤の香り、なかなかの破壊力です。

2日乾かしたワックス

外側のヒビが広がり、中央にも細かいヒビが入っています。
この香りを嗅ぎ続けたら気持ちよくなったりしないだろうかと不安を覚えましたが、案外大丈夫でした。

3日乾かしたワックス

ヒビも目立ち、表面がザラついてきました。
使ってみると、新品のものよりは表面が乾いて少し硬くなっている印象です。ただ、乾燥しているのは表面だけなので、ワックスを使うと中から柔らかいワックスが出てきます。個人的な好みとしてはもっと乾かして、革への食いつきをよくしたいところ。

先ほども申し上げたとおりですが、やはり5分程度でささっと下地を作ろうと思うと、ワックスを塗り重ねるにはまだ柔らかすぎる感じです。

このあたりから溶剤の揮発が落ち着いたのか、あまり香りが気にならなくなってきます。

4日乾かしたワックス

3日目よりさらに表面のねっとり感が増している印象です。
しかしこちらもまだ内側は柔らかいですが、表面の乾いた部分を塗り重ねるぶんには3日目よりも早いです。

個人的にはもう少しだけ乾かしたいところ。

5日乾かしたワックス

5日目から使い心地が少し変わってきます。
ワックスを革に塗った時の滑り(伸び)が少し硬くなった印象です。革に食いつくような粘り気もあるので、ミラーグロスのような硬いワックスと併用するための柔らかいワックスとして使うのであればこの硬さでも十分かなと思います。

6日乾かしたワックス

6日となるとひび割れも増え、乾いている感も出てきます。
5日目との大きな違いはそれほど感じませんでしたが、表面の乾いた部分のねっとり感は若干強く、塗り重ねやすい気がします。

硬い部分は薄く綺麗に塗り重ねないと塗りムラができて凸凹してしまいますが、乾燥も早いので多少力を入れて伸ばしても、前のワックスを溶かしてしまうほどの柔らかさはありません。

7日乾かしたワックス

革への食いつきはかなりいいですが、表面の乾いた部分は粘り気が強いです。
ただ、表面の乾いた部分とワックス内側のそれほど乾いていない部分の使い分けがしやすいのが、7日目以降のような気がします。

内側も柔らかすぎることはないので、ミラーグロスのような硬いワックスを使わなくても、このワックスだけで短時間で仕上げることもできると思います。
使っていくうちに乾燥度合いは進行しますが、硬めがお好きな方はもう少し乾かしてもよいかも。内側の方はまだ柔らかさは残っています。

まとめ

せっかちな性分の僕の感想といたしましては、時短で鏡面を仕上げたいため、5日〜6日乾かしたものと硬めのミラーグロスを併用するのが一番気持ちよく仕上げられそうです。
柔らかいワックスをベースに毛穴を埋めて、その後ミラーグロスで一気に重ねて、もう一度柔らかいワックスで研ぐという感じ。

 

3日〜4日のものは柔らかさが残っているので、前に塗ったワックスを溶かしてしまい、短時間で塗り重ねるのはまだ難しい柔らかさでした。
逆に7日乾かすとかなり使い心地は硬くなりますが、ワックスの内側にはまだ多少柔らかさが残っているので、やはりミラーグロスほどの硬さには至りません。しかし、これくらいの硬さと乾燥の早さであれば、鏡面磨きをはじめたばかりの方やうまくいかない方でもツヤっと仕上げることができるかもしれません。
個人的な好みも含め、ある程度柔らかさを残した状態でかつ柔らかすぎないのは5日〜6日あたりかなぁと思いました。

 

ただし、夏に乾燥させた場合と冬に乾燥させた場合だと乾燥の進行度合いも違うはずですので、あくまで参考程度に考えていただければと思います。
理系の血が騒いだすごく楽しい実験でした。

最後に

半熟卵の茹で時間とか、コーヒーの豆の粗さとか、パスタの茹で時間とか、そういうちょっとしたことを追求するというところに日々の生活の楽しさがあるのかなと思います。
是非好みのワックスの硬さを探してみてください。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。


Writer profile

楠美 皓平 Kohei Kusumi

革靴ジャーナリスト・ブロガー

祖父に教えてもらった靴磨きがきっかけで、靴のお手入れ方法や革靴に興味を持ち、『革靴の魅力や靴磨きの楽しさをもっと多くの人に知ってほしい』という想いでブログやYouTubeで情報発信を行う。また、ファッションとしての革靴だけでなく、足を支える道具としての革靴という側面から、靴選びの大切さについても発信をすべく知見を深めている。
ブランドや職人の取材のライティングをする一方で、靴好きの方のコミュニティの活性化の一環としてイベント運営も手がける。
前職のwebディレクターの経験からシューメーカーのブランドサイトやオンラインショップの制作・カスタマイズ、広告運用を受け持ったり、ブランディングや商品開発のコンサルなども行う。

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