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くすみのシューケア生活

ホーム > くすみのシューケア生活 > 革靴を長持ちさせるために、脱ぎ履きするときに気をつけてほしいこと

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くすみのシューケア生活

公開日:2020/10/14 / 最終更新日:2024/03/07

革靴を長持ちさせるために、脱ぎ履きするときに気をつけてほしいこと

人と長く良い関係を築きたいと思うなら、相手の立場に立って物事を考える姿勢というのが大切です。道徳の授業で教わったあたりまえのことではあるのですが、それでも何か思い通りに行かないことがあったり、疲れていたり忙しくしたりしてるとついその大切なことを忘れがちなのが我々人間です。
時には自分の想いを主張することも必要ですが、自分のエゴや思い込みだけで話を進めてしまうと相手に対する理解も関係も深まらない…ということがあるかもしれません。

 

前置きが長くなってしまいましたが、実はこれって靴を脱ぎ履きするときもまったく一緒なんです。
いや、靴だけじゃなくて全てのものがそうなのかもしれません。この世の真理。

靴を脱ぐ時

靴を脱ぐときは靴紐を解いて、かかとを持って片足ずつ順番に脱ぐことをおすすめします。せっかく買った靴ですから少しでも長持ちさせたいと思うなら、かかとどうしを擦り付けて靴を脱ぐのはできればやめていただきたいところです。
わかります、面倒ですよね。でも靴だってかかとどうしを擦り付けられて無理やり脱がされるのは決して気持ちのいいものではありません。その少しの思いやりが靴との思い出を育むのです。

 

そしてもっと大切なのはこっち。
脱いだ後は、シューキーパーを入れて靴の形を整えることによって、甲に入るシワを伸ばしてあげると靴も長持ちします。こちらの記事でもご紹介しましたが、馬毛のブラシで靴についた土やホコリを落としてあげると尚良しです。

靴を履く時

靴を履く時は、靴紐を解いて靴べらを使って靴を履いていただくことをおすすめします。靴紐の裏にタンのついている靴の場合は、片手でタンを持ってあげるとベターです。
靴と長く付き合うのであればつま先を地面にトントンとぶつけて履いたり、無理やり足を押し込むような履くのはやめていただきたいところです。
疲れているから急いでいるからという理由で、相手のことを慮ることを忘れてはいけません。あなたも1日靴に足や体を支えてもらっているわけですから。

 

逆に、靴紐を解かないで足が入ってしまうということは、靴のサイズが大きすぎるか、靴紐がしっかり締まっていない状態かのどちらかです。
サイズが大きすぎたり靴紐がしっかり締まっていないと靴が足をしっかり支えてくれる効果も薄まり、扁平足や開帳足になりやすくなります。その結果、足の疲れや痛みが出やすくなり、歩行を困難にする場合があります。

 

お仕事上、靴の脱ぎ履きが多い方は、サイドエラスティックやスリッポンタイプの靴を選んでいただくと靴紐が無いので脱ぎ履きは楽なのですが、やはりこれもサイズが大きすぎるものを選んでしまうと足が疲れやすくなります。ちょうど良いサイズのものを選んでいただくことをおすすめします。

 

また、かかとには芯材と呼ばれるかかとを支えるための硬い素材が入っているのですが、無理やり足を押し込むように履いてしまうとその芯材の本来の形が崩れ、かかとのフィット感が弱くなってしまいます。
ですので、玄関に1つ、もしくはバッグの中にひとつ靴べらを入れておくとよいかもしれませんね。あなたの気遣いひとつで、相手も自分のことを長くサポートしてくれるかもしれません、という話。

靴べらの種類と選び方

せっかくですので、靴べらについてもご紹介させてください。
使い方やお好みに合わせて選んでいただければいいと思うのですが、大きく分けて3つの種類がございます。

玄関用の靴べら

長いので立ったまま使えるというのが玄関用の靴べらの便利なところです。居酒屋なんかでよく見るのがプラスチックの靴べらですが、金属製のものや木製のものもあります。金属製や木製の方がだいぶ高級感があってテンションが上がるのは間違いありませんが、立ったまま使うことを想定された長さなので、タンを持って履くことができないのがデメリットです。

水牛の角製の靴べら

こちらは水牛の角でできた靴べらです。
見た目の高級感もありながら、長さのラインナップも豊富です。僕は21cmのものを使っていますが、持ち手もしっかり握りやすい長さなので、玄関で使うにはちょうど良い長さです。携帯用にはもう少し小さいサイズのものもあります。

金属製の靴べら

金属製のものは革のカバーや装飾がついているものが多いです。
キーホルダーになるものが多く、薄くて小型なので携帯用するには一番いいかもしれません。ただし安価なものだと極稀に、ものによっては足入れするときに力がかかって金属が歪んでしまうものもあるので注意が必要です。

最後に

水や肥料をやり過ぎてもうまく育たない植物と同じで、デリケートな革靴も適切なお手入れ方法とうまい付き合い方を知っておく必要があります。
相手を想うあまり、時には過剰に手をかけてしまうことがあっても、それも相手のことをちゃんと理解しようと想う気持ちがあってこそ。
その想いが伝わればきっと理解しあって長く良い関係が築けるものと思っています。

 

靴だけじゃなくて革製品も大切に使おうという気持ちがあれば、使い込んだ味のある雰囲気を纏った、とても素敵なパートナーになってくれるはずです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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Writer profile

楠美 皓平 Kohei Kusumi

革靴ジャーナリスト・ブロガー

祖父に教えてもらった靴磨きがきっかけで、靴のお手入れ方法や革靴に興味を持ち、『革靴の魅力や靴磨きの楽しさをもっと多くの人に知ってほしい』という想いでブログやYouTubeで情報発信を行う。また、ファッションとしての革靴だけでなく、足を支える道具としての革靴という側面から、靴選びの大切さについても発信をすべく知見を深めている。
ブランドや職人の取材のライティングをする一方で、靴好きの方のコミュニティの活性化の一環としてイベント運営も手がける。
前職のwebディレクターの経験からシューメーカーのブランドサイトやオンラインショップの制作・カスタマイズ、広告運用を受け持ったり、ブランディングや商品開発のコンサルなども行う。

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