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ホーム > トピックス > 靴を磨くと、誰かが笑顔になる。小学生が体験した「シューシャイナーのおしごと」
公開日:2026/08/19 

靴を磨くと、誰かが笑顔になる。小学生が体験した「シューシャイナーのおしごと」

大阪タカシマヤで開催された「おしごとたいけん」で、小学生がシューシャイナーの仕事に挑戦。

おしごとたいけんin大阪タカシマヤ

2026年8月5日(水)から8月11日(火・祝)まで髙島屋大阪店で開催された「おしごとたいけんin大阪タカシマヤ」。

期間中に館内で約40種類のおしごとを体験でき、その一企画として、8月8日(土)に「シューシャイナーのおしごと」体験が行われました。
参加した小学生たちは“新人シューシャイナー”として、保護者の靴や体験用の靴を実際に磨き、靴磨きの仕事を学びました。

大阪タカシマヤで開催された「おしごとたいけん」

「シューシャイナーのおしごとたいけん」は髙島屋大阪店の紳士靴売場で開催されました。
講師はSAPHIR FRIENDS、Glayage KYOTO(京都府)の樺澤 幹人 さん。
樺澤さんが“先輩シューシャイナー”として小学生の“新人シューシャイナー”に靴磨きをレクチャー、初めての靴磨きの仕事を体験してもらいました。

2026年8月8日(土)、髙島屋大阪店紳士靴売場で開催されたイベント「シューシャイナーのおしごとたいけん」の看板

講師はGlayage KYOTOの樺澤 幹人さん

講師を務めた樺澤 幹人さんは、京都のSAPHIR FRIENDSGlayage KYOTO」を営む靴磨き職人。靴磨き選手権大会2020では第3位の実績を持ちます。
「ファッションとしても靴磨きを」をキーワードに、靴磨きをカルチャーとして発信する第一人者です。

Glayage KYOTO

今日のために用意された靴磨き道具がならぶ会場の様子

子どもたちに伝えたかったのは「モノを大切にする気持ち」

講師を務めたGlayage KYOTOの樺澤 幹人さんは、今回の体験を通じて子どもたちへ伝えたいことがあったと話します。

 

「モノを大事に扱うことで、より永く愛用することができるということを伝えたかったんです。メンテナンス業を行っている身として、靴磨きを通してそれを伝えられると考え、今回のイベントに参加しました」

 

 

さらに、樺澤さんの中にはもうひとつの"裏テーマ"もあったそうです。

 

「それが『誰かを大事に思う気持ちを育む』ということです。モノを大事に扱うことは丁寧な暮らしにつながります。そして丁寧な暮らしを意識するようになると、人とのコミュニケーションも自然と丁寧になります。モノを大事に扱うことは、誰かを大事に思う気持ちも養えると考えています」

 

靴を磨くという体験の先にある、人やモノとの向き合い方。その考えもまた、今回の職業体験に込められていました。

小学生が挑戦した「シューシャイナーのおしごと」

8日(土)当日、全3コマの初回には3名のお子様が参加されました。

まず売場担当者からの企画説明のあと、樺澤さんの自己紹介にはじまり、靴磨きのお仕事についての説明でおしごとたいけんがスタート。

講師を務める“先輩シューシャイナー”、GlayageKYOTO 樺澤 幹人さんの自己紹介の様子

はじめての体験ということもあり、樺澤さんの説明を真剣な様子で聞いていました。

馬毛ブラシ、ローション、豚毛ブラシ、クロスで基本の靴磨きに挑戦

ほこりを払うブラッシングについて説明する樺澤さん

今回のイベントでは、ご持参いただく保護者の靴、または樺澤さん貸し出しの靴を「新人シューシャイナーとして初めての“お客様の靴”」として磨きます。

新人シューシャイナーとして初めて磨くお客様の靴は「おとうさんの靴」
こちらは「おかあさんの靴」
樺澤さんの靴を「はじめて磨く靴」にする方も。

そして体験用に用意された「職人道具セット」を使って基本的な靴磨きを学びます。

職人道具セットを使って基本的な靴磨きを学びます

使った道具は、馬毛ブラシ、ユニバーサルローション、豚毛ブラシ、クロス、そして仕上げ磨き用グローブ

いざ、挑戦!

まずは馬毛ブラシでほこり払い。

馬毛ブラシで丁寧にほこりを払います

次にローションをクロスに取って革へなじませます。

ローションには汚れ落とし・保革・ツヤ出しの役割があり、革靴だけでなくバッグや革小物にも使えるレザーケアアイテムです。
まずは樺澤さんからクロスの巻き方を教わり、靴に塗っていきます。

指にクロスを巻く巻き方を説明する樺澤さん
指に巻いたクロスにローションをつけて、靴に塗る

その後、豚毛ブラシでローションをなじませます。

ローションを塗り終わって、豚毛ブラシの使い方を説明
樺澤さんに教わった通り、すみずみまで念入りに豚毛ブラシをかける

子どもたちを「仕事仲間」として迎えた一日

今回の体験で樺澤さんが意識したのは、子どもたちを子ども扱いしないことでした。

 

「今回のイベントはキッザニア甲子園が監修を行っており、参加する子どもたちは"お客様"ではなく、同じ仕事を体験する職場の仲間だと知りました。そこで、もともと考えていた進行を一度リセットしました」

 

これまで講師としても活動してきた経験を活かし、当日は普段の講座と同じように接したといいます。

 

「子ども扱いをせず、大人と変わらない対応を意識しました。終始敬語で話していたのもそのためです」

 

作業中には、一人ひとりの手元を見ながら、

 

「ブラッシングが早くてプロみたいな手の動きですね」

「靴の扱い方が丁寧なので、お客様にも喜んでいただけそうですね」

 

と声を掛けて回りました。

「声を掛けるたびに、こちらを見て本当にうれしそうに『はい!』と返事をしてくれて。その笑顔が磨きたての靴のようにピカピカで、僕までうれしい気持ちになりました」

いよいよ、仕上げへ

そして最後にクロスやグローブで乾拭き。

グローブで仕上げの乾拭きをするとみるみる艶やかに

少しずつ革の表情が変わっていく様子に、子どもたちも手元を確かめながら作業を進めていました。

乾拭きまでしっかりとやり切ってきれいに仕上がったら、初めての靴磨きは完了。

しっかりと磨かれ、きれいな光沢が出た“はじめてのお客様の靴”
“おかあさんの靴”もきれいに仕上がりました
樺澤さんの靴の仕上りもばっちり

体験で使用した基本の道具は、家庭でのシューケアにも取り入れやすいものばかりです。

まずは履いた後に馬毛ブラシでほこりを払うだけでも、革靴を長くきれいに保つ第一歩になります。スムースレザーのお手入れでは、ブラッシング、汚れ落とし、クリームやローションの塗布、ブラッシング、仕上げ磨きという流れが基本です。

それぞれに見つけた“好きな工程”

子どもたちは全体を通して楽しそうに取り組んでいましたが、特に印象的だった工程について樺澤さんは次のように振り返ります。

 

「クリームを細かいところまで塗っていて楽しいと言ってくれたり、最後のグローブ磨きでピカピカになっていく様子を保護者の方と一緒に見て喜んでくれたり。それぞれに好きな工程があったように感じました」

 

 

一方で、豚毛ブラシを使ったブラッシングは力のいる工程。

 

「時折腕を休めながら、一生懸命ブラシをかけてくれていました」

 

子どもたちは本物の道具を使いながら、シューシャイナーの仕事を体験していました。

「靴を返すまで」がシューシャイナーの仕事

体験の最後には、磨き上げた靴を持ち主へ返却します。
実はこの工程こそ、樺澤さんが特に大切にしていた部分でした。

 

「どんなに靴磨きの技術があっても、お客様のご要望に寄り添えていなければ評価していただけないと思っています。ご要望を伺い、実際に磨き、最後に直接お渡しして『いかがですか?』と聞いて初めて評価をいただけるんです」

 

そのため樺澤さんは今回の体験でも、磨くだけでは終わらず、お客様へ靴を返すところまでを仕事として組み込みました。

 

「子どもたちには、自分の手で磨いた靴を初めてのお客様へ直接渡すという緊張感と、お客様から褒めていただく成功体験を感じてもらいたかったんです」

 

実際に保護者からは、

 

「こんなにピカピカにしてくれて、もったいなくて履けない!」

 

といった声も聞かれました。

その言葉を受け取った子どもたちの表情はとても誇らしげで、シューシャイナーとしての最初の仕事をやり遂げた瞬間でもありました。
こうしたやり取りもまた、シューシャイナーという仕事の大切な一部です。

  

「靴磨き」は、ただ革靴を光らせる作業ではありません。大切な一足を預かり、また気持ちよく履ける状態に整える仕事です。磨き上げた靴を受け取る人の表情まで含めて、シューシャイナーの仕事は完了します。

 

体験後には、樺澤 幹人さんからローション、ミニブラシ、クロス、グローブのシューケアセットが、髙島屋からはレストラン街で使えるクーポン券が“お給料”として進呈されました。

靴磨きが教えてくれる、モノを大切にする気持ち

靴磨きというと、靴をきれいにする技術に注目が集まりがちです。
しかし今回の「シューシャイナーのおしごとたいけん」で子どもたちが触れたのは、それだけではありませんでした。

 

モノを大切に扱うこと。

誰かのために丁寧に手を動かすこと。

そして、自分の仕事で誰かに喜んでもらうこと。

 

樺澤さんが子どもたちへ伝えたかったのは、そんなシューシャイナーという仕事の本質だったのかもしれません。

 

磨き上げた靴を手渡した子どもたちの誇らしげな表情は、職業体験を超えた小さな成功体験として、それぞれの心に残ったことでしょう。

足元を整えることから始まる、人やモノとの丁寧な向き合い方。

今回のイベントは、靴磨き文化の魅力とその価値を次の世代へ伝える、貴重な機会となりました。


 

【執筆者プロフィール】

ShoesLife編集部:田中 忍

田中 忍 / ShoesLifeライター
シューケア・レザーケアに携わって20年、現場での経験と検証をもとに実践的なケア方法を発信。

SAPHIR シューケアアドバイザー/シューケアトレーナー、レザーソムリエ(日本革類卸売事業協同組合認定)。


 

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