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夏の困りごと。クレム1925が溶けてやわらかくなってしまった時の対処法

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公開日:2023/09/28 

夏の困りごと。クレム1925が溶けてやわらかくなってしまった時の対処法

異様に暑かった、2023年・夏

夏のイメージ写真

※写真はイメージです。

2023年、この夏は本当に本当に暑かったですね。

 

日中の平均気温が30℃を下回る日がほとんどなく、夜も毎日が熱帯夜。
朝でも夜でもちょぃっと外に出て歩くだけで汗がダラダラ垂れてくる、うだるような暑さが続きました。

 

「うだる」、という言葉は「茹だる(ゆだる)」が変化した言葉だそうですね。
文字通りの茹だってのぼせるような日々でした。

さて、そのような暑~い日が続いたことで、寄せられた靴クリームに関するお困りごとについて、今回はご紹介いたします。

「あまりの暑さに、靴クリームが溶けてやわらかくなった」

今年に限らず、暑くなると寄せられるのが「靴クリームが溶けた(やわらかくなった/分離した)」というご相談です。

 

今まで普通に使用していた靴クリームが、あまりの暑さにどうにかなっちゃった!?と驚かれるかもしれません。

 

症状としては、

 

  • やわらかくなった(ドロドロになった、など)
  • 液体がクリームの表面に浮き出てきた

 

といった状態が見受けられます。

 

 

 

ここで1点写真をご覧いただきましょう。

表面に液体が浮いて出たサフィールノワール クレム1925

気がついたら液が表面に溜まっていて、どろどろゆるゆるになってしまった状態のサフィールノワール クレム1925です。
(という体で日中熱がこもる部屋に数日置いておいた検証用のサンプルです)

 

いざ靴のお手入れしようとキャップを開けてこの状態だと、果たしてこのまま使っていいものなのだろうか、元に戻す方法があるのだろうか、といったご心配をなされるのも当然ですよね。

 

 

それでは、このような状態になってしまったクレム1925は使用できるのでしょうか?

 

 

 

 

結論から言いますと、

 

 

「問題なく使えます!」

 

 

特に、油性に分類されるサフィールノワール クレム1925であれば、まったく問題なく再使用できるようになります。
ただ、液体がしみ出ているこのままの状態では使いづらいので、いったん元の状態への復元を試みたいと思います。

 

 

まずなぜこのような現象が起こるのか。

 

その原因のひとつは「高温となる場所での保管」です。

急な温度変化、特に高温下では油分やワックス、有機溶剤が液状に分離しやすく、クリーム表面にしみ出します。
これが液体がクリーム表面にでてくる理由です。

 

これをまた使えるような状態に戻す方法は以下の通り。

液体が浮いてきたクレム1925を復元する方法

 

方法はかんたん!

 

冷ます!

 

ただ、そのまま冷ますのではなく、その前にやっておきたいことがあります。

 

まずクレム1925の場合は、表面にしみ出た液体は捨てずに、かき混ぜてしまってクリームに再度なじませます。
かき混ぜるときは、小さなヘラやさじなどがいいと思います。
カップアイス用の木製スプーンや画材のヘラ、傷や手荒れがなければ指でも構いません。
クリームには有機溶剤は含まれているので、プラスティックや樹脂製のものは避けた方がよいでしょう。

 

液体を捨てない理由は、靴クリーム配合バランスが崩れるのを極力避けるためです。
水っぽくなる気がして思わず捨ててしまいたくなりますが、クレム1925は水を含まない油性の靴クリームなのでしみ出た液体は水分ではありません。
油分やワックス、有機溶剤が主な成分なので、再度混ぜ込むことが可能です。
油性ではない乳化性のクリームの場合はまた少し事情が変わりますが、それは後述します。

 

さてクリームと液体が混ざったら、しっかりキャップをして涼しいところでしばらく保管します。

冷めて固さが戻ったサフィールノワール クレム1925

冷めて固さが戻ったサフィールノワール クレム1925

写真はかき混ぜた後、日中クーラーを常時つけている(夜間時はオフ)部屋に1日置いた状態です。
すっかり元のようなクリーミーな状態に戻ったことがわかります。
熱によって分離してしまったものでも、このように一度かき混ぜてから冷ますだけで元の状態にかなり近くなります。

 

なお、また暑いところに置いておくと再び分離してしまいます。
上記方法でクリームっぽさを取り戻した後は、できるだけ温度が一定で、風通しの良い涼しいところで保管するのが望ましいです。
※基本的にはシューケア用品全般、高温多湿な場所を避けて保管するのがモアベターです。

 

 

ちなみに、配合主成分に水が含まれる乳化性クリームの場合ですが、多少の液の表出であれば今回ご紹介したような方法で改善可能です。
しかしながら、油性であるクレム1925とは違い、あまりに分離が進んでしまっていると回復は難しくなります。

乳化性は水分を含む処方であるため、分離時点で液体に水が含まれます。
水・油・ワックスという本来は混ざり合わない物質を乳化という方法でつなぎ合わせているため、それが一度分離してしまうと、もう一度混ぜ合わせる(乳化させる)のは非常に困難だからです。

乳化性クリームで液体の分離が見られたら場合は、クレム1925とは逆に、いらないティッシュやクロスに液体は吸わせて処分してから、後は同様にしっかりと混ぜて冷ますことで、とりあえずは使える状態までには戻ります。

 

ただし成分の配合比率が大きく崩れてしまうので、この後クリームが過剰に固くなったりなどの変化が生じる場合があります。
乳化性クリームも前述したように、温度変化の少ない冷暗所での保管をおすすめします。


まとめ

 

混ぜて冷まして復活させたクリームは、固さなどは若干元の状態とは変わってしまいますが、効能・効果には大きな影響はありません。
同様な現象にお困りの際は、ぜひ本記事の方法を参考に復活を試みてください。

 

さて、ここまでのご説明でなんとなくイメージが湧きやすくなったかと思いますので補足をひとつ。

だいたい40℃前後の気温下でも本記事のようにクレム1925はやわらかくゆるくなります。
言い方を変えれば、しっかりと熱が加わることでクリームはやわらかくなり、浸透性が高まるわけです。

“サフィール流シューケア術”の記事にもありますが、靴に塗布したクリームは豚毛ブラシをかけて適度な摩擦熱を加えることで浸透しやすくなり、皮革によくなじみます。

 

伝統的な製法を使って、皮革のコンディション維持に最適な天然原料を主成分としてふんだんに用いる製品づくりをするサフィールブランドとして、安価な石油由来の化学原料を使うことで得られるテクスチャの安定性よりも天然原料が革・革製品へもたらす優れた効果効能の方を重視している結果でもあるのです。


本記事で紹介した商品はこちらで購入できます。

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