オイルレザーと言われても、普通の革製品と何がどう違うのか、ピンと来ないですよね。
お手入れするにも、まずはその素材がどんな性質を持ったものなのかを知る必要があります。
実は手元にある靴や革製品が何気にオイルレザーで作られたものだった、なんてこともあるかと思います。
あらためてオイルレザーがどんな革でどんなお手入れが必要なのか、一緒に学んでいきましょう。
目次
1.オイルレザーってどんな革?
2.オイルレザーの製品
3.お手入れのポイント
4.まとめ
“オイルレザー”は革に油分を多く含ませたものの総称です。
動物から剥いだ「皮」を素材としての「革」にすることを「鞣(なめ)す」と言いますが、
オイルレザーはこの鞣しの工程で一般的なスムースレザーと比べてもより多量の油を含ませて作られています。
油分を多く含ませることにより、丈夫な素材である革が油分の効果でさらに丈夫になります。
具体的には柔軟性が高まり耐久性が上がることと、乾燥に強くなり耐水性が高まることが上げられます。
オイルレザーの表面は油分のしっとり感はありますが、ワックスでのコーティングではないので強い光沢感はありません。
いわゆる「マットな仕上がり」です。
オイルレザーは幅広い製品に使われており、靴やかばん、財布など革小物、ジャケット等衣服などスムースレザー製品と同様の使われ方をします。
ただ前述の通り、油分をたっぷり含ませ耐久性・耐水性を高めたことを活かして、アウトドアシューズ・ブーツ、バッグ、ジャケットなどで使われることも多いです。
またオイルレザーという名称ではありませんが、Paraboot(パラブーツ)※1のLisse Leather(リスレザー)、Horween(ホーウィン)社※2 のChromexcel(クロムエクセル)レザー などは原皮から高品質な素材を用いた高級オイルレザーに分類されます。
※1 Paraboot:フランスのシューメーカー。甲革のリスレザーだけでなくラバーソールも自社オリジナルの部材を使用する稀有なメーカー。
※2 Horween:アメリカ シカゴにあるタンナー(皮革製造業者。皮から革へ鞣す専門業者)。1905年創業の老舗。コードバン製造でも世界有数のタンナー。
お手入れはスムースレザー用のケアアイテムでも使えなくはないですが、スムースレザー用のクリームやローションはワックスを含んでいることが多く、オイルレザー製品特有のしっとりとしてマットな風合いの維持は難しいです。
質感を保つのであればできればオイルレザー専用のアイテムを使いたいところ。
おすすめは以下に挙げる商品達ですが、基本的な使い方は同じでいたって簡単です。
ワークブーツ、アウトドアシューズなど過酷な環境下でガツガツ履く・使うようなオイルレザー製品は、キズや汚れ、乾燥などがつきもの。
定期的なオイルアップ(加脂)が必須な場合はこちらの商品を使います。
サフィール ダビンオイルH.P.
動物性油分、植物性油分を用いた固形オイルです。
比較的粘度が高く、濃厚な油分でしっかりと皮革に油分を補給することができます。
動物性油分はアザラシやサーモンなど海棲生物から採取されています。その効果で耐水効果が抜群に秀でています。
油分が濃厚な分、革の色は暗くなり、乾いても完全には元の色には戻りません。
イコール、補給された油分の維持効果は高く、長く乾燥から皮革を守ることができます。
なお商品名にある「H.P.」は「High Protection(高い保護効果)」の略です。
前述のリスレザーやクロムエクセルレザーなどの高品質オイルレザー製品のほか、キズや擦れお構いなしなハードユースな製品というよりかはどちらかというとタウンユースに作られたオイルレザー製品におすすめな製品です。
サフィールノワール オイルドレザークリーム
オイルレザー専用に処方されたクリーム。オイルレザーに必要な油分をしっかりと補給します
動物性油分のニートフットオイル、植物性油分のホホバオイルをバランスよく配合。柔軟効果・保湿効果に優れた処方となっています。
特に得意としているのが、リスレザーやクロムエクセルレザーなどタウンユースのオイルドレザー製品。普段使いのオイルレザー製品のお手入れに合わせて、過度にベタつくようなことなくケアをすることができます。
光沢を目的としたワックスを含まないので、マットで落ち着いた上品な質感をキープすることができます。
この2商品は本サイト連載コラム 革靴ジャーナリスト 楠美皓平さんの「くすみのシューケア生活」でも詳しくご紹介しています。
元々丈夫な素材である革がオイルアップ(加脂)されることで、柔軟性や水気や乾燥からの耐久性が強化されています。
ところがその一番のストロングポイントである油分が抜けてしまうと、途端に素材の持つ魅力が半減してしまいます。
オイルレザーの最大の特長を維持するためには、オイルアップを目的とした油分を多く含むケアアイテムを使用することが必要不可欠です。
その際はアイテムによって特長や仕上がりが異なりますので、うまく使い分けることがポイントとなります。
使い込むことによって味の出るオイルレザーを上手にお手入れをして、ダメージではなく“経年変化”を楽しみましょう!
本記事で紹介した商品はこちらで購入できます。
Youtube “ShoesLife チャンネル”にて公開中
“オイルレザー”のお手入れHowTo動画はこちら
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