Featured Staff
サフィールオフィシャルアドバイザーの
ワンポイントアドバイス
ハンズ名古屋店の靴磨き用品コーナー担当者のおすすめ情報をお届けします。
ハンズ 名古屋店 担当:植田
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サフィールオフィシャルアドバイザーのワンポイントアドバイス
ハンズ 名古屋店の靴磨き用品コーナー担当者のおすすめ情報をお届けします。
ハンズ 名古屋店 担当:植田
ShoesLifeにお越しいただき、ありがとうございます。
今年2025年は、サフィールの名作「クレム1925」がパリ万博で金賞を受賞してから、ちょうど100年の節目の年です。
そんな年の梅雨の季節の中、靴磨きをしていると、ふとある疑問が浮かびました。
「防水スプレーなんてなかった昔のヨーロッパで、革靴はどうやって雨から守られていたのだろう?」と。
そこで調べてみたところ、戦前ヨーロッパの靴事情には、いまにも通じる知恵が詰まっていました。
ヨーロッパでは靴は一生もの。しっかりと手入れしながら長く履くことが常識でした。
1.動物性油脂+ビーズワックス(蜜蝋)
牛脂・鹿脂・ミンクオイルなどを革全体にたっぷり塗り込み、さらに、ビーズワックスで表面に防水膜を形成しました。
特にカントリーシューズや登山靴では欠かせない工程でした。
2.松脂(ロジン+テレビン油)
ソールの縫い目を目止めし、水の侵入を防止。
軍靴や狩猟用ブーツなど、ハードな使用環境に耐える靴に用いられていました。
3.では、日本は?
日本では明治以降、西洋化とともに革靴が普及しましたが、当時はまだ庶民には高嶺の花。
一般的には、雨の日に革靴は履かないという選択が主流。
下駄を履いていたようです。
かつては街角には普通に靴磨き台があり、職人がオイルアップからワックスがけまで行うのが日常風景。
仕上げには「水弾きテスト」と称して、水滴を垂らして防水性を実演する粋なサービスもあったそうです。
ということで、
1.動物性油脂+ビーズワックス(蜜蝋)の戦前ヨーロッパ流の防水術を、現代のサフィール製品
を使って実際にやってみました。
今回お手入れする革靴
右足
左足
昔ながらの靴磨きでは、まずは靴に付いた埃や汚れをしっかり落とすところから始まります。
ここで活躍するのが「馬毛のブラシ」。
中でも尾毛(びもう)と呼ばれる、馬のしっぽの毛を使ったブラシは、ほどよいコシとしなやかさがあって、靴の表面の埃をやさしく、でもしっかりと払い落としてくれます。
※本来なら、このあとに専用のクリーナー(リムーバー)を使って、古いクリームや皮脂汚れなどを落とすのが定番の流れです。
でも今回は、あえて昔ながらのシンプルな靴磨きを楽しむスタイルということで、この工程は省いています。
次に、SaphirNoir(サフィールノワール)のミンクオイルクリームを適量、布を巻いた指にとり、革全体にじっくり塗り込みます。
革がしっとりと吸収し、防水性と柔軟性が高まります。
※塗りすぎはNG。革が重たくなり“だれる”ため、当時から敬遠されていたとか。
靴のウェルトには、SAPHIR(サフィール)のアプライブラシがとっても便利。
SaphirNoir(サフィールノワール)ビーズワックスポリッシュを指を使って薄く均一にのばし、豚毛ブラシで馴染ませます。
これが雨を弾く防水膜となり、靴の表面をしっかりガード。
昔の職人にならって、仕上げた靴に水を一滴。
防水ケアをした右足
防水ケアをしていない左足
……見事に弾きました。
水玉はコロリと丸く転がり、革に染み込む気配はゼロ。
現代の防水スプレーとはまた違う、“油と蝋の安心感”がしっかりと伝わってきます。
防水スプレーがない時代にも、革靴を雨から守る工夫はあったんです。
その伝統を、現代の名品「サフィール」で再現するのもまた、靴好きならではの楽しみですね。
ぜひ一度、戦前ヨーロッパ流の手入れ法を体験してみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介した商品は、すべてハンズ名古屋店7Fのシューケアコーナーで取り揃えています。
他にも、この商品で昔ながらの防水仕上げができます。
TARRAGO(タラゴ)ミンクオイル
SAPHIR(サフィール)ダビンオイルH.P.
SAPHIR(サフィール)ビーズワックスポリッシュ
ハンズ名古屋店7Fでお待ちしております。
ハンズ名古屋店まで買いに行けない……という方はこちらで購入できます。
ハンズ名古屋店 靴・レザーケアコーナー
植田 晃史 Koji Ueda
だーうえこと植田晃史さんは愛知県在住。落語と映画鑑賞が趣味。20年ほど靴の販売員として従事されていた経緯を持ち、2015年より東急ハンズ名古屋店にてサフィール専属スタッフとして売り場に立つ。
来店されたお客様の綺麗に手入れされた靴を見て興味を持ち、シューケアをしながら愛着を持って長く履くという考えに共感したことがきっかけでサフィールに出会う。
モットーは「お客様と噛み合った接客」。豊富な経験に基づいたアドバイスを致します。
2025年は、サフィールの名作「クレム1925」が金賞を受賞してから100年の節目。この記念すべき年の梅雨、ふと浮かんだのは「昔は、革靴をどう防水していたのか?」という疑問。戦前ヨーロッパでは、靴は資産とされ、動物性油脂や蜜蝋を使って丁寧に防水・お手入れをしていました。今回はその伝統的な手法を、現代のサフィール製品を使って再現してみました。詳しい手順をご紹介します。