Featured Staff
サフィールオフィシャルアドバイザーの
ワンポイントアドバイス
ハンズ名古屋店の靴磨き用品コーナー担当者のおすすめ情報をお届けします。
ハンズ 名古屋店 担当:植田
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サフィールオフィシャルアドバイザーのワンポイントアドバイス
ハンズ 名古屋店の靴磨き用品コーナー担当者のおすすめ情報をお届けします。
ハンズ 名古屋店 担当:植田
ShoesLifeへようこそ。
靴とは、不思議なものです。
履き主の人生を黙って支え、そして、黙って語る。
手入れを怠れば、くたびれ果て、愛を注げば、艶やかに応えてくれる……。
まるで、人生そのもののように。
さて、今週お迎えするのは、黒靴ひとつを携えてやってきた、ひとりの男。
場所は、毎週土日にハンズ名古屋店7階で開催されている「レザーケア相談会」。
革靴、ブーツ、バッグ……
日々の暮らしの相棒ともいえる革製品たちに、再び命を吹き込むこの場所には、さまざまな物語が集まります。
そこには、持ち主の歩んできた時間、こだわり、そして、ほんの少しの悩みも一緒に映し出されるのです。
ある週末の午後、その相談会にふらりと現れたひとりの男性。
名前は、黒光 輝夫(くろびかり・てるお)さん(仮名)、50歳。
話によれば、彼は根っからのアウトドア派。
特に山登りを愛し、20年以上前に購入した安藤製靴やサロモンのブーツを、今でも現役で履いているそうです。
靴の好みも、そんなタフな一足を好まれるようです。
そして、所有している黒の革靴は、たったの一足。
それが、今回持ち込まれたDanner(ダナー)の「MANAWA」プレーントゥでした。
「この靴をね、ちょっとだけでも“きちんとした場”にふさわしくしたくて」
そう言って差し出された黒のプレーントゥには、深い履きジワと共に、長年の歩みが刻まれていました。
トゥーには茶芯が現れ、味わい深い表情を見せています。
「できれば、サフィールでピカピカに鏡面仕上げ。自分じゃうまくいかなくって。お願いできますか?」
──かしこまりました。少々お時間をいただきますね。
さてと。
まずは、SAPHIR(サフィール)の馬毛ブラシで全体の埃を払い、
細かな布にSAPHIR(サフィール)レノマットリムーバーを染み込ませて丁寧にクリーニング。
SaphirNoir(サフィールノワール)のアプライブラシにクレム1925(ブラック)を取り、ブラシの面と角を使い分けながら、靴全体と細部までクリームを塗り広げます。
さらに、SaphirNoir(サフィールノワール)ブリストルポリッシャーブラシで革全体にクレムを馴染ませながら、磨き上げていきます。
そして、最後の仕上げに、SaphirNoir(ノワール)ビーズワックスポリッシュでトゥを丹念に磨き、鏡面のような艶を重ねていきました。
仕上げの仕上げとして、Sleipnir(スレイプニル)ハイシャイングローブで鏡面の筋を整え、ピカピカに。
少しずつ変化していく革の表情。
かすかに湿り気を帯びたような、奥行きのある光。
それは、ただの光沢ではありません。
その靴が歩んできた時間、そして、これから歩いていく未来が、トゥに映り込んでいるようでした。
仕上がりを見た彼は、どこか照れくさそうに、けれど少し安心したような表情を浮かべて、ぽつりとつぶやきました。
「……これなら、急に呼ばれても恥ずかしくないですね。ま、呼ばれるかどうかは別ですけど」
年齢からして、もしかしたら娘の結婚式かもしれない。
しかも訳があって遠く離れた娘の──。
でも、そうやって靴に向き合う時間は、心のどこかを整えてくれる。
たかが靴磨き、されど鏡面磨き。
これは、靴のお手入れであると同時に、人生を整えるひとときなのです。
──とはいえ。
実を言えば、このお話は、私が靴を磨きながらふと思い描いた、ひとつの妄想にすぎません。
けれど、磨き上げているうちに浮かんできたイメージが、気づけば物語になっていたのです。
靴には、その持ち主の人生が刻まれています。
そしてそれは、磨くたびに語りかけてくる。
それを想像するのが、私の密かな楽しみなのです。
💡 ハンズのレザーケア相談会は、ハンズ名古屋店7階で【毎週土日 13:00〜17:00】開催中!
ぜひ、サフィールスタッフにご相談くださいね。
お手入れ初心者の方も、長く革製品を大切に使いたい方も、ぜひお気軽にお越しください。
“ShoesLife — It’s my life!”
ハンズ名古屋店まで買いに行けない……という方はこちらで購入できます。
ハンズ名古屋店 靴・レザーケアコーナー
植田 晃史 Koji Ueda
だーうえこと植田晃史さんは愛知県在住。落語と映画鑑賞が趣味。20年ほど靴の販売員として従事されていた経緯を持ち、2015年より東急ハンズ名古屋店にてサフィール専属スタッフとして売り場に立つ。
来店されたお客様の綺麗に手入れされた靴を見て興味を持ち、シューケアをしながら愛着を持って長く履くという考えに共感したことがきっかけでサフィールに出会う。
モットーは「お客様と噛み合った接客」。豊富な経験に基づいたアドバイスを致します。
毎週土日にハンズ名古屋店7Fで開催中の『レザーケア相談会』には、さまざまお客様が革靴とともにいらっしゃいます。お客様の靴を磨く時間は、靴が持ち主の人生を語りかけてくるようで、やりがいがあります。今回持ち込まれた靴は、ダナーの「MANAWA」プレーントゥ。お手入れの仕上がりまでの工程を是非ご覧ください。